ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

木内博一の和のマネジメントと郷の精神

農家の世代交代が遅れる理由と解決法



 長期戦略がないとは、経営者が「いつまでも年を取らない気でいる」ことを意味している。その点は若い農業者も同じで、必ずやってくる経営移譲についての認識が欠落している。長年染みついた慣習は、簡単には変わらない。ならば、経営管理の教育を含めた新たな農家のルールづくりを行なえばいい。

 そこで和郷園では、組合として平均5万円を預かることにしている。若いメンバーだと、最低25年は積んでいける。年間60万円、25年で1500万円になる。60歳になった瞬間に1500万円ぽんと渡すことができれば、「あとの経営はせがれに譲る」という話が現実化する。20代、30代の手取りが少ないあいだは3、4万円でもいい。真っ当に努力して経営が伸びてくれば、すぐに7、8万円は積み立てられる。平均5万円積立の退職金1500万円が、無理なく貯えられ、退職金として納得できるひとつの線ではないかと思う。

 とはいえ、和郷園のメンバーは最年長でも40代、まだ誰ももらったことがない。将来に備えて現在、連載第6回目でも書いた未収金対策や新規事業への投資に向けた積立金に加えて、こうした自分の退職金用の積立制度を組合規則として、きちんとルール化、明文化する準備をしている。

 結局のところ、自分の将来にさえ備えがない人間には誰もついてこない。パートさんを1人でも雇用したら、その人の家庭や人生を、できる限り背負う責任がでてくる。そのためには姿勢を正し、それだけの器を自分自身で作っていく必要性を自覚する――これが経営管理のスタートラインだと考えている。


「自律」を支える原動力

 和郷園は組合、会社という体裁をとってはいても、実態はまだまだ農家の経営教育の場だ。それが我われの組織のいいところで、真っ正面から「自律」をキーワードにしている。農家がまだ自律できていない事実を正直に認めて、組織として、仕組みとして、規律を作っていく。

 農業技術云々は抜きにして、その事実を素直に認められる素直な人間しか組織にいない。和郷園への入会は私が面談で決めているわけではない。ほとんどがメンバー同士の紹介だ。損得感情抜きに、「コイツは実直に頑張っているから、応援してやろう」というノリで決まる。私は「お前がそういうなら間違いない」と迎え入れる。地元の先輩・後輩であったり、同じ作物の師匠・弟子であったり元の関係はさまざまだ。一言でいえば、皆「仲間」だ。

関連記事

powered by weblio