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【今年の市場相場を読む】
冬春野菜 レンコン/ブロッコリー/ニンニク/生シイタケ
- (株)農経企画情報センター 代表取締役 小林 彰一
- 第3回 1994年09月01日
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レンコン 国産物を敬遠させる力を持ち始めた中国産
【概況】
レンコンは、一般需要が高まる年末以外は、業務用中心の食材で、一二月に最大の入荷ピークがある。一月には激減して三月の期末、年度末の業務用需要期にヤマがあり、以降、八月までは入荷は少ない。続く 九月、一〇月にやはり後期のスタートと結婚式などの宴会需要があるが一一月に一段落して、一二月のピークに向かう、というのが例年のパターン。価格は年明けから五月ごろまで、キロ三〇〇~四〇〇円で低位安定し、入荷が減り高温期となる夏場にキロ一〇〇〇円を超える価格となる。秋は、入荷増に伴って価格は一~五月水準に下がるという、ごく単純な推移を見せる。
【背景】
昨年の場合は、年前半は例年より入荷増の単価安、後半は入荷減の単価高となったのは、他の品目と同様に天候異変の影響。需要が一定であるために、入荷の増減と価格はみごとなほどの相関関係を示す。ところが、昨年は最需要期である一二月に例年より入荷が二〇%以上減った。業務用需要のほかに一般需要も強いこの時期に、市場入荷が二割も減ったら、価格は二~三倍近くになることが珍しくない。が、価格は七割高程度で推移した。夏場からレンコンの品薄を見越して、中国産の秋以降の輸入急増が一二月のレンコン相場を冷ました。
【今年の対応】
レンコンは、今年も品薄が見込まれている。昨年からの品薄から継続して、年が明けてもレンコンの輸入は続き、今年の前半だけで二〇〇〇トン以上の輸入があったとされる。しかも、ここ一~二年でレンコンの国内搬入時の着荷状態は飛躍的に向上している。選別がバラバラ、色が黒すぎる、鮮度保持のための真空パックが腐敗を早めている、などの欠点が、思いもかけず早く改善されている半面、二〇〇~三〇〇円といった価格で取引され、クロウト筋には“面白い”商品となっている。今年の秋冬の国産の出荷は、数量減によって単価は保証されているようなものだが、かえって輸入物の方が細いものの混入もなく太さも一定で、白く上がったレンコン、というイメージが定着しつつあり、国産は産地よっては敬遠される傾向にさえある。輸入物を見てわが産地を振り返ることも必要か。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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