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編集長インタビュー

自分の望む生き方に忠実に生きた。その結果としてある、経営者として今

去る1月16・17日、山形県河北町で認定農業者の会研修会が開催された。本誌編集長の講演が終わった後、講演に訪れていた本誌読者である後藤慶治氏、阿部慎一氏と会談する機会があった。農家の長男とした生まれた後藤氏、農機店の長男として生まれた阿部氏、その出自こそ異なるが、ともに地域の中で生まれ直し、自分の望む生き方を貫いてきたという共通点がある。二人に話を聞いた。

誰も見向きもしなかった過去の品目に光を当てる

昆吉則(本誌編集長) 今回の編集長インタビューは、山形県で頑張られている本誌読者を、みなさんにご紹介する形で行ないたいと思います。まず天心園の後藤さんは、古くからの読者です。最近では、山形の名産品だったものの今ではほとんど生産されていないベニバナの生産に取り組み、ご自身で加工・販売までされるなど、新しい取り組みをなさっています。
 阿部農機店の阿部さんは、真室川町で約40年農機具屋さんをなさってこられる一方で、3年前から地域の農家のコメを集荷し・販売するだけでなく、自らも人材を雇用してエダマメを生産したりといったことをなさっています。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、まず後藤さんからお話をお聞きしますけれども、もともとというか、今でもそうですけれど、サクランボ農家ですよね。なのに、ベニバナにまで手を出されたのはなぜだったんですか? 聞くところによると、今では生産しても追いつかないぐらいの人気になっているそうですが。

後藤慶治((有)天心園代表取締役) そうですね、私は県が音頭を取った農家による直売所活動をしていまして、会長をやらせてもらったりしていた時期があったんです。でも、「直売所に置く目玉商品がないな」と仲間で話し合ったんです。じゃあ何かやらなきゃな、ということで試行錯誤していたんですが、山形で作られていたベニバナはどうだろうという話が出たわけですよ。実際、山形県内ではほとんどベニバナは生産されていなかったんです。あっても観光用ぐらいなもので。

昆 当然、作った経験もなかった?

後藤 そうです。祖父の頃までは作っていたみたいですけどね。それで、種を県からもらって、育て方を教えてもらうこともなくやっていたんですが、これが面白い。直売所で売ると、お客さんが食いついてきてくれるんです。それで、最初は田んぼ1枚からスタートしたのが、次の年は2枚6反、去年は1町2反という具合に規模を広げていっているんです。売り上げもサクランボほどではないにしても、お金は残りますね。

昆 それだけ需要がある。

後藤 今のところ製品化されているのはお茶だけですけれど、非常に可能性を感じますね。ある食品メーカーの研究によると、ベニバナ種子の成分には、血管を若返らせる効能があるそうなんですよ。それで、その会社に原材料としてどうかと言ってみたんですけど、国産は値段が高いから手が出せないという返事でした。その会社では中国から鳩のエサとして輸入されているものをキロあたり80円~200円で輸入しているそうですが、国産となるとキロ500円ぐらいですからね。

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