記事閲覧
3.JGAPの理念を確認し、主体的な取り組みを宣言
JGAPの立ち上げ当初は、農業をめぐる社会状況として、残留農薬や無登録農薬の問題がクローズアップされていました。このため『管理点と適合基準』の目次構成も「農産物の安全」から始まり、農薬の項目がそのトップとなっていました。
もちろん、「農産物の安全」が最も重要な事項であることには変わりはありません。ただ、全体の生産工程管理に基づく品質保証への主体的な取り組みこそが、その目的を果たすのではないかという考えから、JGAP2010では「農場経営と販売管理」を最初の項目に位置づけることにします。これは、まずは生産者がきちんとJGAPの理念を確認し、主体的な取り組みを宣言する形に項目の順序を変えるということです。
また、管理点の順番についても、作業工程順に並んでいた方が取り組む際にわかりやすいという意見を受け止め、並びかえることにします。たとえば農薬の項目では、選択・計画、準備・使用、片付け・記録、保管、ドリフト(飛散)、残留の自主検査という順になる予定です。
4.もやし・スプラウト類、キノコ類にも対応しやすくなる
従来の青果物版の標準品目リストにも、もやし・スプラウト類、キノコ類は含まれています。しかし、これまでは野菜と果樹を中心に内容の検討が行なわれてきた関係から、それら以外の品目については管理点の読み替えが難しい面があり、審査員の負担となっていました。
今回の改訂では、もやし・スプラウト類およびキノコ類について生産者や研究者から意見を集め、より実態に沿ったわかりやすい内容を目指すことにしています。
たとえばスプラウトであれば種子の衛生管理をどうしているか、キノコであれば培地や原木のリスクへの対策を講じているかなど、従来の野菜とは違う視点で管理点を新設します。
5.認証の有効期限を延長
現在のところJGAP認証の有効期限は1年ですが、これを2年に延長する予定です。ただし中間審査があるものとし、そのタイミングは審査認証会社側が決めることができるルールにします。
6.ほかのGAPとの調和
現状では、大手の流通企業なども独自のGAPやPB取引基準を持っています。今回の改訂の目的のひとつに、これらの基準とJGAPの互換性・整合性を高めることがあります。そのためJGAPと主なGAPとの比較検討を行ない、JGAP側に不足部分があれば追加して充実させ、用語をより適切かつ共通するものに変更する予定です。
会員の方はここからログイン
亀若誠 カメワカマコト
日本GAP協会
技術委員長
和歌山県生まれ。1963年に大阪府立大学を卒業後、農林省(現農林水産省)に入省。大臣官房審議官兼農蚕園芸局大臣官房技術総括審議官を歴任。1995年に退職。同年JICA理事、1999年農林水産技術情報協会理事長を経て、社団法人大日本農会の副会長に就任。日本GAP協会の技術委員には個人として参加。
GAPレポート
世界80カ国の5万農場がグローバルGAPの認証を取得するなど、GAP認証制度は世界中に広がっている。わが国でも日本GAP協会のJGAPをはじめ、自治体や流通業者ごとのGAPが普及しつつあるが、その取り組みは緒についたばかり。適正な農場管理を実現し、競争力ある経営をもたらすツールとして、GAPをめぐる動きを報告する。
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)