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【海外レポート】
ヒール宮井のAGRITECHNICA2009訪問記 後編
- 西南農場 代表取締役 宮井能雅
- 2010年03月01日
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ドイツで見えてきた北海道農業の行く末
さて、前回の続きである。2番目に紹介していただいたコントラクターはコンバイン、トラクターをそれぞれ15台以上所有していた。麦刈の料金は1haあたり120ユーロ(約1万5000円)、北海道の標準作業委託価格の3分の1である。ライバルは多いのか聞いてみた。「こんな小さな町にライバルは2社ある」そうだ。
農家の平均は30~40haで十勝並みだが、この面積では営農は現実的に不可能であるので、われわれの様な会社が存在している、とも言っていた。民主党の先生方、よく聞いてくださいね。兼業農家を助けるのが農業支援にはならないのですよ。
ヘニング、彼の家に行くのは3回目だ。1978年に国際農友会を通じてドイツから北海道・本別町にやって来てひと夏研修を行った。ドイツでもヨーロッパ内の国に研修に行くのは多いが、当時アジアに行くのは初めての試みだそうだ。その後、当時の国際感覚の鋭さを利用して、東西ドイツの壁がなくなると、積極的に旧東ドイツの農地開拓を始めた。彼は1980年代には30haあれば十分に暮らせたが、今では最低100haは必要だと発言する。これすなわち北海道でも将来同じ様になるということでもある。そうなると必然的に自分の生きる方向性は見えてくる物だ。栽培作物はビート、小麦、大麦、菜種は搾油用とバイオ燃料になる。気になる農地の価格は1haで130万円と価格としては安いが、小麦販売価格も安い。3年前は1tあたり250ユーロ(約3万1000円)が今年は125ユーロ(約1万5000円)に下がった。一昨年の穀物価格高騰は全く関係ないと言っていた。背景にはEUの拡大に伴い、農作物の移動が容易になり旧東欧諸国からの移入が増えたと語っていた。経費削減のため化学肥料から堆肥を活用することになり、おもに鶏糞が用いられ散布量は1haあたり8tで価格は13万円らしい。
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宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
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