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新・農業経営者ルポ

コシヒカリの里で稲作に頼らない複合経営


 それは過去にスイカの全滅を経験した飯塚ならではの実感だろう。現在、飯塚はニンジンやジャガイモなど、複数の作物を導入した複合経営を行なっている。ジャガイモはまだ挑戦して3年目だが、少しずつ栽培技術を磨き、収量を上げている。さらに冬場はハウスでタラの芽やヤマウドの促成栽培も行なっており、豪雪で屋外作業ができない季節の雇用確保に努めている。

 また、雪国であるという特徴を生かして、2年前には雪室を導入した。20年ほど前にある研修会で、氷温貯蔵すると野菜やコメのうまみが上がると聞いて以来、いつかほしいと思っていた施設だった。ジャガイモの貯蔵に使えば、糖度を増すことにより付加価値をつけて販売できる。雪というハンデを逆に利用した省エネ型の冷蔵施設だ。ところが実際に使ってみると、雪室内は湿度が100%近くになるため、ジャガイモの品質管理の面でまだまだ課題があることもわかってきた。

 飯塚の農業経営はまだまだ試行錯誤の中だ。だが、魚沼という土地でこれほどコメ以外の作物に情熱を燃やすのは、経営者としての責任を果たそうとすればこその姿といえるのではないだろうか。


若者が夢をもって生活できる仕組み作りを

 飯塚農場は基本的に家族経営だ。現在、専従しているスタッフは飯塚夫婦、長男夫婦、次男夫婦、そして弟とその息子と娘の9人。長男家族とは同居しており、同じ敷地内に次男夫婦、弟の家族は居を構えている。だが、家計と経営は混同せず、給与体系を整備して、就業時間や賞与、休暇などの取り決めも明確化している。各自の受け持ちや役割分担も決まっていて、それぞれの部門に責任をもって取り組むシステムを設けている。経営目標を明確化し、それを家族が共有しているのである。

 講演を頼まれることも多い飯塚は、若者相手に話をするときには「農業は将来有望なエリート産業になる」といつも話している。

 「夏に大勢人を雇っても、10月になると全員解雇というところもある。それでは農業は魅力的な職業にはなりえません。冬季にも売上が出る仕組みを作って、一年中、給料をもらえるようにしなくては。理想的には冬の3カ月は有給で休みをとって、世界を旅したり勉強したりすることができる職業にしていかないと、農業をやろうという若い人材は出てきません」

 夢みたいな話ではあるが、飯塚は本気だ。そして、本気で農業に取り組みたい若い人とはタッグを組んでもいいと、飯塚は言う。

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