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「以前は黙って作っていれば黙って買ってもらえるというのが農業で、経営のことは考えなくてよかった。でも、日本のコメの動向を見れば、いくら減反しても余るのは目に見えています。減反をやらせて補助金を払うというやり方では、いつまでたっても農業はよくなりません。コメを国外に出さないことにはコメ問題は解決しないと思います」
コメ問題を国内問題にとどめず、もっとマクロ的に地球規模の食糧問題という視点から見るべきではないかと飯塚は考える。農業をベースとして、そこから経営、技術、教育など多岐にわたる経験や知見をもつ飯塚のもとには講演依頼も多い。
また、企業や大学からこれまでに延べ100名以上のホームステイ研修生を受け入れてきた。研修にきた東京大学や早稲田大学の学生と、どうやったら農業が活性化できるかについて夜遅くまで真剣に話し合うこともしばしばあった。飯塚の話に刺激を受けて、海外の農業開発の仕事に就いた若者もいるという。
「若者たちが夢を持って、なおかつきちんと生活していけるような農業経営の仕組みを作り上げることは、これからの日本では絶対に必要なことだと思います。『農業は捨てたもんじゃない』、そう誇りを持てる職業にしなくてはならない。その戦略をいろいろ考えています」
いまは政権が変わって先が読みにくい状況なので、動きがとりにくいと飯塚は言う。だが、さまざまな逆境を乗り越えて、革新的な経営を実現してきた飯塚である。時期を見定めて、必ずや大胆な攻めの戦略に打って出るに違いない。
(文中敬称略)
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飯塚恭正 イイヅカヤスマサ
飯塚農場
代表
1944年、新潟県六日町生まれ。父が戦後に開拓した南魚沼市八色原の農場で、魚沼コシヒカリとスイカの栽培から徐々に農地を拡大し、稲作と畑作の複合経営を目指す。減反政策の施行後、コメとスイカの二本柱に加えてニンジン、ジャガイモ、タラの芽、ウド、野菜苗など30品目の栽培に挑戦。通年収入の見込める経営の実現を図る。圃場は八色原に15ha、苗場山麓の津南町に15haの計30ha。専従スタッフは家族9名で、地域ぐるみの農業経営に取り組んでいる。魚沼みなみ有機米部会会長。
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