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特集

稲直播栽培の技術的可能性と経営的問題点

 しかし、借地面積が次第に増えて三〇 haを超えた頃から、いかに成苗田植といえども田植え日数がかかり、生育の遅れを感じるようになった。そこで、あらためて麦を作付けしない分については、直播を復活させねばならないと考えるようになった。


不耕起直播機の出現

 そんな矢先、みのる産業(株)製の「不耕起直播機」なるものが出現し、早速導入した。これは前年のワラが散らばっていても播けるもので、今年は一五haをこの機械で播いた。圃場が少しくらい湿っていても播くことができ、覆土もうまくいく。後からの中間管理作業も地表面が硬いので、大変楽である。来年はさらに面積を増やしたいと思っている。そして、播種期に雨が降り続くようであれば、前述の全天候型方式で切り抜けようと思っている。

 コメもいよいよ国際的自由化の時代を迎えている。高品質の物を六〇kg当たり一万円以下のコストで作らねばならぬ時代となりつつある。それにはどうしても高能率で、安い経費の農業を実現しなければならない。その一つとして、直播方式は最も有効な手段であろう。


直播実現のための条件

 どんな条件下でも何の問題もない直播技術というものはない。その方式もそれぞれの地域での気象条件、土地条件、あるいは各自の経営条件によって異なるものとなろう。湛水・乾田いずれの方式をとるにしても、あるいは芽出し播きをするにしても、通常の移植栽培より成熟が遅れたのでは困る。たとえ早生品種を使って成熟が遅れないようにしても、収量が大きく下がるような地域であるなら、いくら能率が上がったとしても直播は敬遠されざるを得ないであろう。

 土地条件としては、漏水田では乾田方式は避け、湛水方式でいくべきであろう。とくに初期雑草を抑える意味においても充分に水量を確保できることが望ましい。水量が少なく、切れる状態が続くと品質も悪化するし、収量もあげにくい。

 岡山県南部は古くから乾田直播方式でやってきたが、皮肉にもやや東寄りの低湿地帯で長続きしている。それは、播種時には多少難儀するが、養分の流亡も少なく、水もたっぷりあって収量も下がらず、コンスタントにとれているようである。

 直播はいずれの方式を採用するにしても、播種密度によって穂数は容易に確保できる利点があり、適期に播けば遅れることもなく良品質のものが得られる。しかし多く播き過ぎると穂も小さく粒張りの面でやや難がある。

 したがって、穂重型品種を採用して播種量は減らせるだけ減らした方が得策のようである。また、種子の更新をおろそかにして連年使用すれば、脱粒しやすくなる傾向があり、こんな場合には脱粒難の品種が向いている。

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