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特集

稲直播栽培の技術的可能性と経営的問題点

 当然といえば、これほど当然な結論はないのだが、均平や砕土の良否などの圃場整地、自由な水位調節や漏水防止など水管理の自在性は、発芽・苗立ちの確保と雑草防除を決定づける最大要因なのである。

 除草剤の選択や散布時期の判断、酸素発生剤の利用技術、肥培管理技術などはその次に来る問題である。したがって、直播の導入に当たっては、まず圃場の選択と入念な整地が必要である。

 この面での技術開発課題は、基本として直播に合った基盤整備技術の開発があるが、営農技術としては、トラクタを利用したレーザ均平など省力かつ低コストな均平法、コンピュータ管理による自動水管理システム等の開発を実施している。すでに実証段階に入っだ技術もあるが、今後早急な実用化を進めたい。


播種技術の新技術

 基盤の次に重要なのが、播種技術と管理技術で構成される直播栽培法である。

 まず、播種技術を見てみよう。播種技術は圃場基盤と並んで直播の安定化に不可欠な要素であり、精密さと作業性および省力性が同時に要求される部分である。

 現在、乾田直播では鎮圧播種方式や不耕起方式が開発されつつある。前者は福井県農業試験場で開発され、播種同時鎮圧を含む二回の鎮圧工程を組み込むことにより、降雨後の作業性や除草剤効果の向上、漏水の軽減を実現している。後者は岡山県農業試験場や農水省農業研究センターで開発中であり、降雨後の作業性向上と省力性を目標としている。

 湛水直播では、酸素発生剤(商品名カルバー粉粒剤)」粉衣モミによる湛水土壌中直播を軸に、新たな技術開発が進められている。その一つは、複数のモミを力ルパーや増量剤でコーティングして複合粒を作り、これを散播ないし条播する方法である。

 複合粒化により、代かき落水後の土壌表面への種子貫入がより確実になるため、浮き苗が少なく苗立ちが安定化する。また、株形成するため倒伏に強くなることが期待されており、東北農業試験場など寒冷地を中心に研究されている。

 もう一つの方向は、コーティングをせず裸モミで播種する方法である。この場合の問題点は、裸モミを湛水土中播種すると発芽苗立ちが極端に低下するので、表面播きせざるを得ないことであり、そのため、ころび苗や浮き苗が発生しやすくなることである。

 この方式の代表である北陸農業試験場が開発した潤上直播方式では、播種後の落水を続けることで種子周辺の土を干し固め、かつ種子根の土中貫入を促進することで、これらの問題点を回避している。ただし、寒冷地で湛水による保温効果がなくなることや鳥害を受けやすいなど残された問題もある。

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