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特集

稲直播栽培の技術的可能性と経営的問題点

安定性が最大の目標

 直播栽培の技術体系としての成否の鍵は、その安定性にあるといえます。どのような気象条件の年でも、苗立ち、それに続く生育、収穫へと、次から次の稲の状態が安心して予測期待できるような技術である必要があります。

【乾田直播と代かき直播の弱点――苗立ちを確保できる乾燥状態が得られない】

 たとえば、乾田直播技術についても、何回もやってみたのですが、たしかによい年はよいのです。ところが、雪融けから春作業までに十分圃場が乾きませんと、苗立ちを確保できる砕土状態が得られません。経験からは、好適な土壌の乾燥状態が得られる気象条件が出現するのは、数年に一度でした。

 それならば、代かきをして播種する方法はといいますと、やはり年次による気温の差が苗立ち率に反映してしまいますし、雑草・鳥害などの問題が克服できませんでした。

【苗立ち安定へ――雪融け後の入水で深水にする】

 なんとか安かした苗立ち率を得られないかと考えていたとき、田んぼにたまたま放置されていた稲穂が春先の入水後いっせいに発芽しているのを見て、ひらめいたのです。雪融け後の入水ですから決して水温は高くありません、かえって低くて心配されるくらいでした。それでも均一に芽が出、生長を始めていたのは、条件の一貫性がよかったのではないかと思ったのです。

 そこで、催芽の期間中も周辺の気温の水準に水の温度を保ち、播種に際しても田んぼの水温の変化が小さくなるよう深水にしてみたのです。すると、思っていた以上に、苗立ち率の安定性が得られました。

【自然の変動にまかせ過保護にしない――種モミの力を発揮させる】

 浅水やひたひた水にして種子周りの温度を上げればよい、と誰でも考えがちですが、そのような方法は、年々の日照時間の違いや種子の深さムラの影響を受けやすく、結果的に苗立ち率を安定しないものとしてしまうわけです。また、表面地温の上昇は雑草の発芽も促してしまいますから、不都合なのです。

 一回だけではなく、暖かい年も寒い年も、深水法による生育はほぼ同じ成績となりました。種子の予措から播種後の圃場条件まで、自然の変動の範囲に素直におさめるよう、過保護にする必要はなく種モミの持っている力を発揮させればよかったのでした。

【無代かきの利点――土壌表面は水によって崩され軟らかい層を形づくる】

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