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特集

稲直播栽培の技術的可能性と経営的問題点

 五〇年代に入ると規模拡大は年を追うごとに順調に進み始めた。五五年には一二haを超えるまでになる。そうすると、育苗作業のはん雑さと手間が、大きな問題となってきた。

 面積が大きいから、その神経のつかいようと労力は半端ではない。しかも、短期間に集中するのである。かといって、育苗センターを利用すれば、経営としてのもうけはうすくなる。

 順調に規模拡大が進んでいただけに、私は育苗作業のたいへんさが、今後の規模拡大の大きな障害となる、という危機感を強く抱くようになっていた。


湛水土壌中直播への取り組み

 そんな時である。五五年九月一〇日付けの日本農業新聞「石川・富山県湛水土壌中直播稲作で多収」という活字が目に止まった。直ちに翌一一日、石川県農業短期大学の中村喜彰先生を訪ねた。重く垂れたコシヒカリの穂波をこの目で確かめ、これこそ「本物の直播」であると感動した。そして翌五六年、三〇aの圃場を研究試作田として、初めて湛水土壌中直播に取り組んだのである。

 品種は、倒伏に強い「はつあき」。一〇a当たり収量は四八六に昭と、まずまずの結果を得た。そして三年間、三〇aの試作研究を続けた結果、収量は、田植機稲作と差がない、一〇a五〇〇kg前後を確保することができた。そして、生産費調査では一〇a当たり二〇%のコスト低減を実証することができた。

 この三年間の試作を経て、五九年から一八haの稲作の一割強にあたる二haに、直播を導入、いまでは全体の二割に及ぶ四haを直播するまでになっている。


湛水土壌中直播のポイント

 この直播稲作の栽培ポイントは、(1)どのように安定した苗立ちを確保するか、 (2)初期雑草をいかに抑えるか、である。つまり播種前後の管理の良否が、実り多き秋を大きく左右するのである。播種前後の各作業のポイントは次のとおりである。

【[1]種子モミの準備】

 田植機稲作以上に胚乳の充実した種子モミが要求される。このため、塩水選は欠かせぬ重要な作業であり、比重一・一三の塩水で行う。なお、自家採種を行う場合は、収穫の際にコンバインの回転数を落とすなど、適正な採種に心がけることも大切である。

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