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「フリー作付けの道もございます」
前月号で名前を出した北陸農政局農産課の鶴崎一郎課長にお詫びをしたい。校了になってから、鶴崎課長さんから、FAXが届き、そこに例のフリー作付けのことが丁寧に説明されていたのに、それが誌面に反映できなかったことである。鶴崎さんの人柄がジワッと伝わってくるような文面で、そこには「誤解を与えるような説明をした」と丁寧に詫びてこられた。逆に、こちらが詫びたい心境になってしまった。
ところで前月号では、鶴崎さんに、「コメ生産者にとって、新しい水田経営のオプションはいくつあるのか」と問うたところ、鶴崎さんが、「戸別所得補償、水田利活用です」と答えてこられ、再度、筆者が「それだけですか」とお聞きしたても、何回も同じ答えが戻ってきたので、あのような書き方になってしまったのだが、そのFAXには、農水省としてのフォーマルな回答をこう書いてこられた。
「まず、稲作農家が22年産で取り得べきコースについてですが、すべての農家に主食用米の生産数量目標が配分され、農家の選択肢としては、まず、この生産数量目標に沿って生産する場合と、生産数量目標を超えて生産する場合があります。
生産数量目標に沿って生産する場合には、『戸別所得補償モデル事業』に参加することができます。また、主食用以外の部分について、『水田利活用自給力向上事業』に参加することはできます。
次に、フリー作付けについですが、それに関し、通知、通達などはありません。そのようなものがあると誤解を与えるような説明をしてしまい申し訳ありませんでした。
農家は、生産数量目標に沿って生産し、『戸別所得補償モデル事業』のメリットを受ける場合と、生産数量目標を超えて生産し、『戸別所得補償モデル事業』のメリットを受けないオウンリスク(自己責任)でやる場合の両方を自らの経営判断で選ぶことができます。すなわち、土門さんのおっしゃるように、フリー作付けの道がございます。
一方、大臣は12月22日の談話で『できる限り多くの農家の方々が喜びをもって新しい農政に参加していただきたい』と述べています。農水省としましても、大臣の意を汲んで、選択は自由になっている中で、農家がご自分の経営をよく考えていただき、この制度に参加していただけるよう、情報提供に努めていきたいと考えています」
コメは、今年から3つのコースが選択できるのだ。Aコース、フリー作付け、Bコース、戸別所得補償モデル事業、Cコース、水田利活用自給力向上事業。Bコースを選択すれば、主食については生産数量目標の範囲内でしか作れず、それを超える面積については、転作作物、すなわち水田利活用自給力向上事業の中から選ぶ仕組みである。Cコースは、その水田利活用自給力向上事業だけで勝負するものである。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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