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高評価組は、亀井静香金融・郵政改革相、前原誠司国交・運輸・北方相、中井洽国会公安委員長、藤井裕久財務相(辞任)、菅直人副総理兼国家戦略相(財務大臣に横滑り)、原口一博総務相ということになる。筆者なりの評価法、つまりどれだけ改革をしたかとい尺度で測れば、巷間、評価の高い前原さんは、日航再建問題でミソをつけた。亀井さんは、郵政民営化の流れを逆に戻して落第点、平成の借金チャラ政策は噴飯モノ。原口さんは、いまだテレビ露出度高くイメージ先行で、改革実行度はいまだに未知数。中井さんは、燻し銀的な存在感だけで筆者的にも合格点。
肝心の改革実行度という尺度で測れば、赤松大臣の右に出る者はいないのではなかろうか。なにせ自民党政権が絶対にやれなかった選択減反を一気に推し進めた点だけでも合格点。よって筆者の判定は85点。ホントは100点を差し上げたかったけど、戸別所得補償モデル事業にちょいとカネをかけすぎたので、その分差し引いておいた。
通信簿の所見欄には、「閣僚間の交渉内容まで暴露するおしゃべり好き。言葉は滑り気味で、戸別所得補償をめぐっては秋田県を批判して物議を醸す」「危うさと紙一重の大胆さを併せ持つ」と書いてあった。秋田県のケース、これは大臣が物議を醸したのではなく、ルール違反を平気でやっていた秋田県と農協組織がやってはいけないことをやっていたので、赤松大臣が政治力を発揮して、県と農協組織を「良導」しただけのことである。
赤松大臣は、政治家としての勘がとてもよい点である。本質をズバッと見抜く能力をお持ちだなと拝察した。そう思ったのは、2月8日の衆議院予算委員会での圧倒的な存在感。その時のやりとりは、自民党農林部会最高顧問・加藤紘一氏の赤松大臣への質問のシーンだった。加藤さんの質問はこれ。
「お米は、日本ではかなり自給はありますね。その次に、自給率向上のために必要な穀物は何でしょうか。大豆でしょうか、麦でしょうか、えさ用の穀物でしょうか。それとも、最近我々がよく言っている、米粉でのパンを作る米粉用の米なんでしょうか。それは農林大臣に聞いても、正式の、何か役所答弁になりますから、それこそ亀井さん、一言で言ってください。お米の次に日本人がどうしても作っておかなきゃならぬ穀物は何でしょうか」(衆議院議事録より)
たまたまテレビで中継を見ていたが、オヤッと思ったのは、赤松大臣ではなく、担当外の亀井静香金融・郵政改革相を指名してきたことだ。外野でやりとりを聞いていた印象は、加藤さん、いったい何を言いたいの?加藤さんは赤松大臣との勝負を避けたみたいだった。その加藤さんを見つめる赤松大臣は、腰を浮かせて答弁席に立とうとしていたが、自信満々の表情は、いまの両者の関係を反映する。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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