ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

エコファーム・アサノ 脳業発想力

モノサシのない世界で自分が基準になれ

 2月の『農業経営者』全国大会には俺も顔を出させてもらった。ああやって普段会わないメンツと話すのも刺激になるけど、「自分の作物はどうすれば売れるようになるでしょうか?」って質問は困るんだよな。そんなもん俺がつくったわけでもねえのに俺が知るかよ。シェフからも「フランスに行ってどこどこの店で修行しました。おかげさまで独立もしたけど、お客がきません。どうしたらいいでしょうか」って相談を受けることがある。そんなこと言うくらいなら雇われて給料もらってたほうが楽だと思うよ。

 俺からしたら、自分の発想で新しい価値を生み出すことが農業や料理の面白えところだと思うけどな。逆にいえば今まで自分が身につけた知識とか経験なんてなんの価値もねえの。それはもう過ぎたことでしょ。一番重要なのは、まだ誰にも見えていないものに気付くこと。そんなものにこそ俺は価値があると思っている。世間にはデータバンクの会社もあるけど、過去のデータを金出して買ってなんの価値があるんだろうね。少なくとも百姓として商品を提供するなら、見えないものを選んだほうが楽しいじゃん。

 俺なんか高校時代に停学くらったタチだけど、現代人は子どもの頃からさんざんルールのなかで教育を受けてきて、それでやっと社会に出たと思ったらまた決まりごとだらけでしょ。そりゃ社会のルールは守んなきゃいけねえよ。でも農協みたいな組織に入ったら、社会のルールとはまた違うルールに従わなきゃいけねえじゃん。そんなもんは腑に落ちねえ。人間ってのは成人したら自由なことができるんじゃねえのかよ。やりたい仕事とか目標とかよ。それなのに最初からやり方が決まってる組織なんて、人の夢を奪ってるようなもんじゃん。「俺は自分の料理がつくりたいんだ!」っていう料理人が、レシピがあってメニューが決まってる店で働いていられる? そんなの俺からいわせれば「料理」じゃなくて「調理」であって、ただの作業だね。農業だって、ただ野菜をつくるだけならそれは農作業なの。

関連記事

powered by weblio