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【木内博一の和のマネジメントと郷の精神】
運営ではなく、経営をしていますか?
- (有)和郷、生産組合(農)和郷園 代表理事 木内博一
- 第17回 2010年03月01日
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経営と運営の分業
組織の代表者は絶えず忙しい。もっと言うなら、たいてい仕事に忙殺されている。なぜかといえば、仕事が「経営」と「運営」に明確に分かれていないからだ。我われのような中小企業や農業法人だと、社長の時間の最低8割、往々にして10割近くを運営雑務に労力を費やしている。事業意欲が旺盛な農業経営者に限って、この傾向が強い。
そうなると一番大事な経営戦略に手が回らず、外部の市場環境の変化に柔軟に対応できない。未来を切り開くべき経営者が、既存事業の運営のための一プレイヤーとなっては、事業の成長も望めない。組織としてきっちり分業する必要がある。
そこで参考までに、和郷の組織を説明しよう。
経営戦略のトップにいるのは私であり、それにブレーン的な人間が何人かついて、社長室という部署を形成している。ここでどんな規模でやるか、どういう時間軸でこなしていくかを計画する。それを実現していく上で一番大事なパートナーになるのは資金であり、その資金調達・管理役になるのが総務部長だ。以上が和郷の経営戦略を組んでいる部隊で、私は経営戦略に専念するため、運営には全くタッチしていない。
では経営戦略を実現する運営戦略はどうなっているかというと、トップには専務がいて、その専務を事業本部長がサポートし、その下には課長がいる。何に困っているのか、どういう方向に成長したいのかを一番分かっているのは運営の現場だから、経営戦略部隊はそのためにプラスになるような戦略を組み、それを運営のトップである専務や、事業本部長に相談していく。そこで「やった方がいい」という結論になれば、ミッションは運営戦略のほうに移行するシステムになっている。
完全に新しい事業を始めるときは、運営戦略に沿って、新規に中核スタッフを採用し、一から事業部を立ち上げる。既存のスタッフを中途半端に兼務させては立ち上がりスピードが遅くなる。以前、「副業のすすめ」(2009年9月号)に書いた内容と矛盾するようだが、それは軌道に乗った事業について言えることである。
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木内博一 キウチヒロカズ
(有)和郷、生産組合(農)和郷園
代表理事
1967年千葉県生まれ。農業者大学校卒業後、90年に就農。96年事業会社(有)和郷を、98年生産組合(株)和郷園を設立。生産・流通事業のほか、リサイクル事業や冷凍工場、カット・パッキングセンター、直営店舗の展開をすすめる。05年海外事業部を立ち上げ、タイでマンゴー、バナナの生産開始。07年日本から香港への輸出事業スタート。現在、ターゲット国を拡大準備中。起業わずか15年でグループ売上約50億円の農系企業を築き上げた木内氏の「和のマネジメントと郷の精神」。『農業経営者』での連載で、その“事業ビジョンの本質”を初めて明かす。
木内博一の和のマネジメントと郷の精神
起業わずか15年でグループ売上約50億円の農業ビジネスを築き上げた“農業界の革命児”木内博一。攻めの一手を極める氏の経営戦略と思考プロセスを毎月、明かしていく。
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