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視点

価値を伝えるために超高級品を作る

  • ロイヤルブルーティージャパン(株) 代表取締役社長 吉本桂子
  • 第71回 2010年03月31日

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 当社ではワインボトル入りの本格高級茶を販売している。優れた緑茶、青茶、紅茶を世界中から集め、ティーソムリエがボトル1本あたり3~6日間かけて水出しで淹れる。基本の価格帯は5千円から2万円で、レストランやホテルから注文をいただいている。

このビジネスを手がけたのは、日本をはじめ世界では茶の本質が正しく伝わっていないと思ったからだ。たとえば中国では高級料理を食べた後、高価な花茶をたしなむ文化があるが、日本では1泊10万円の宿泊施設でも安いお茶しか出てこない。シーンに伴ったお茶市場が未開拓なのである。

「1本20万円」の狙いとは

 事業の構想が固まってきた頃、静岡県庁の方からお茶農家の現状を聞く機会があった。ペットボトルの茶飲料が普及して、急須でお茶を入れる習慣が減り、リーフ茶の売り上げが低下している。聞けば年商100万円程度で、廃業寸前の農家も少なくないという。

 それ以来、少しでもお茶農家の力になればと活動してきて、昨年末から1本20万円する超高級茶の予約販売を始めた。茶名人の呼び名が高い太田昌孝氏が栽培した手摘み茶葉を原材料に使用しており、コストを考えれば決して法外な値段ではない。狙いはお茶にはこれだけの価値があることを世間に伝えて、お茶農家のモチベーション向上に貢献することだ。超高級茶が話題になることでリーフ茶にも関心が向かい、改めてお茶を意識してもらえれば本望だ。超高級茶の販売というと奇をてらってるように思われるかもしれないが、やっていることは茶の文化的再生であり、原点回帰なのだ。

 お茶は茶室といった住居空間、茶を淹れる時に着る服、器など、さまざまな文化と繋がっている。お茶が売れれば周辺産業が活性化する効果も期待している。


市場の国境は問わない

 これから国際化が進む。もともとアジアや中東ではアルコール分解酵素を持つ人が少なく、宗教的にも酒を飲まない。今までのように「コミュニケーションには酒が必須」という常識が変わっていく。そして日本特有の「酒を飲んだら無礼講」も通用しなくなる。

 そうした時代の要請を考えると、ノンアルコール飲料のビジネスチャンスは国内外で拡大していくに違いない。いいものを作ったら、それを受け入れるいいところへ持っていくのがビジネスの鉄則。日本市場だけでなく、海外の市場も見据えている。

 今後はトップクラスの日本の銘茶を集めて、「高級茶といえばロイヤルブルーティー」というブランドを確立させていきたい。もし「我こそは」というお茶農家がいれば、ぜひ名乗りをあげてほしい。     

(まとめ・鈴木工)

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