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江刺の稲

豪州ビクトリア州ツアー

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第169回 2010年03月31日

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 3月26日から4月2日まで、読者の皆様とともにオーストラリアのビクトリア州に行ってくる。春の作業が忙しくなる3月末だというのに23人の団体旅行となったのは、農業経営者たちがビクトリア州でのメイド・バイ・ジャパニーズに可能性を見出したことの顕われだろう。

 今回はビクトリア州政府に全面的な協力を頂いて各地の農業企業や農家を訪問する。また、同州政府関係者や農業経営者たちと同地でのメイド・バイ・ジャパニーズによる農業生産とそれを付加価値とする同国内や世界の市場向けたマーケティングについて意見交換もする。試作や経営実験に取り組むための条件整備も進めていただいている。さらに、アグリズム編集長をはじめとする4Hクラブのメンバーも参加するこということで同地の農業青年を交えたバーベキューパーティーも企画していただいているようだ。

 同州にはすでに外食業のサイゼリアやキリンビール、雪印など進出している。我々が目指すのは、日本の農業あるいは農業経営者ならでは作物を季節が反対の豪州で生産し、日本ブランドの農産物として日本のオフシーズンに供給し、さらに世界にその市場を求めていくことである。

 ご存じであろうか。ニュージーランドのキウイ生産企業ゼスプリ社は日本でも愛媛県や佐賀県に約800名の契約生産農家を持ち150haに同社パテントの果肉の黄色いゼスプリゴールド(品種登録名:Hort16A)を栽培している。さらにゼスプリ社の日本法人であるゼスプリ・インターナショナル・ジャパン⑭は、ニュージーランド産キウイの日本への輸入だけでなく、北半球でのゼスプリブランドキウイの販売も担当し、230億円の年商をあげている。

 鎖国したかのような我が国の農業関係者は、本誌のメイド・バイ・ジャパニーズの呼びかけに対して「海外で安く日本の作物を作って日本農業を危うくさせようとしている」と批判し、海外からの農産物輸入を何であれ反対するとのが常である。で、も、アスパラガスやブロッコリーのことを考えてみればよい。それらは海外からの輸入が増えたがゆえに季節を超えて消費が拡大し、日本国内の生産も増大したではないか。

 リンゴのフジも様々な日本で品種開発したかんきつ類やカキなども栽培環境に恵まれた諸外国でたくさん生産されている。なぜ日本の農業界が海外生産に取り組み、それを日本のブランドで世界のマーケットに広げていくことに取り組まないのだ。

 愛媛でのゼスプリのキウイ生産は全農愛媛県本部との契約で行われている。その栽培を請け負うのなら、なぜ全農愛媛はオーストラリアその他の栽培適地で愛媛ブランドのかんきつ生産に取り組まないのだろう。

 さらに言えば、まだ海外での生産が限られる山形などのサクランボや栃木や福岡などのイチゴが海外生産に取り組まれない理由とは何なのだろうか。ましてや、季節が日本とは反対の南半球であれば愛媛や山形や栃木のブランドで日本国内でも年2回の販売チャンスを得るだけでなく、海外生産であればこその低価格で提供でき、それが最高級品の国内産の宣伝にもつながるではないか。

 日本の農業界はなぜそれに取り組めないのか。それは、「安い輸入品に負け国内産地が滅びてしまう」という敗北主義のせいだ。それを前提として政治に守られ、保護に安住する体質を産地あるいは生産者自身が持ってしまったからだ。さらに産地保護ということが産地を金縛りにしているせいだ。でも、それだけでは日本農業が安楽死するだけなのだ。

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