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大手食品企業不在のFOODEX JAPAN
久しぶりに千葉・幕張メッセのFOODEXJAPAN2010に足を運んだ。会場を見回って気がついたのは、全般に低調ムードが漂っていたことだった。幕張メッセには、国際展示場が第1から第11ホールまである。筆者がよく通っていた10年前は、すべてのホールが出展企業で埋まっていたが、今年は第8ホールまでしか使っていなかった。出展企業が少ないためか、以前のように通路を歩いていて肩がぶつかり合うようなこともなく、比較的余裕のあるレイアウトになっていた。
出展企業の顔ぶれも異変が起きている。まず気がついたのは、アジアで有数の国際食品見本市というのに、日本の大手食品企業の参加がめっきりと少なかったことだ。目についたのは、製粉最大手の日清製粉グループぐらい。わが国の食品企業を代表する味の素(売上1兆1000億円)、食肉加工最大手の日本ハム(同1兆円)、製パン最大手の山崎製パン(同8117億円)の食品関係御三家はなぜか出展せず。
国内勢で代わりに目立ったのが、農水省など外郭団体、自治体、第三セクター的な団体、生産者組織である。その中に地方の中堅食品企業がポツリポツリとあるぐらいだった。それと日本的というのか、食品見本市なのに食品機器メーカーの出展がやたらと目立っていた。
ドイツ・ケルンの世界最大の食品メッセ「アヌーガ」、パリの「シアル・パリ国際食品見本市」と比較すると、FOODEXの限界が見えてくる。前者はホンモノのビジネスのための食品見本市、FOODEXは単なるイベントかお祭り(学園祭という評もある)のようだ。
それを示す格好のエピソードをひとつ。今年のFOODEXでもそうだったが、海外から出展してきた企業、とくに人気の高いフランスのワインやチーズを扱う会社は、ビジネス優先。商談相手ではない一般入場客へは超シブチンな態度。フランスのワイン会社などは商談相手にしか試飲をさせない。冷やかしお断りというやつだ。
それに比して日本の出展企業は実に気前がよい。試飲、試食の大判振る舞い。おかげでブース前には人が群がるが、商談をしている光景にはめったにお目にかかれない。FOODEX開催方法を原点から問い直すべき時期に来たのではないか。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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