ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

木内博一の和のマネジメントと郷の精神

「上海・和郷園」構想



 この分析に、成長著しい中国沿岸部の中小企業数を加味して計算してみる。そうすれば、「個人資産10万ドル以上の中国人は5000万人」といわれる統計も間違っていないことが分かる。確実に富裕層マーケットが存在するのだ。

 肝心なのは、自分なりに市場の実態を細かく丁寧に整理して、ビジネスの判断基準を持つことだ。


鮮魚で流通ルート構築

 大きな市場があるからといって、進出すれば必ず成功するかというと、そんな簡単な話ではない。市場は規模だけでなく、その成熟度でみることが重要だ。

 中国市場の分析と上海進出の案件は5年以上前からできあがっていた。しかし、上海を筆頭とする沿岸部の成長は製造業がどんどん牽引したもので、日本が得意とするサービス産業という側面はまだ未成熟だった。つまり、我われの企業レベルでは先行投資リスクが大きすぎる。

 そこで我われは本格的な中国本土への進出の備え、一番リスクの低い投資を考え、香港に目をつけた。香港はサービス業が成熟しており、貨幣経済的にも日本とそれほど変わらない金融都市だ。関税といった障壁もない。そんな海外にしては事業のやりやすい市場で、まずは、流通業を創ってきたのである。

 最初に取り組んだのは、その日、築地に入った新鮮な魚を輸送し、夕方までに香港の寿司店や日本食レストランに届ける仕組みである。そういうサービスを求める店は、良いお客さんがいる店だから、良いものが欲しい。そしてその「良いもの」がコンセンサスになっていく。

 つまり良い魚を提供してだんだん良好な関係ができたところで、今度は「実はうち、野菜も扱ってますよ」と声をかけるのだ。取引先は「こんないい魚を持ってくる業者なんだから、野菜も『良いもの』だろうな」と考え、ちょっと試してみようかという気になる。そこで初めて我われ農家が作った野菜や果物に出番が回ってくる。


安売りしない仕組み

 この事業の話をすると「和郷さんがなんで魚やってるの?」と驚かれる。しかし農家だから野菜しか売っちゃいけないと考える時点で、「マーケットイン」のことが分かっていない。お客から見れば、良い野菜も、良い果物も、良い魚も、良いお肉も、全部が主役だ。俺は野菜農家だから、俺の野菜を主役にしろとか、肉はダメだとか、魚は主役じゃダメだとか、そんなバカげた話はない。顧客視点で足場を築いた後、初めて得意なもので勝負すればいいのである。

関連記事

powered by weblio