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すべてはつながっている
農業を始めたきっかけは人それぞれだと思う。私の場合、その糸口は剣道の竹刀を置いたことだった。
私は幼少のころからずっと剣道に打ち込み、大学ではそれなりに大きな剣道部で大将も務めていた。そのため4年生で部活が終わってしまうと、空虚な気分に陥った。それまで剣道にすさまじいエネルギーを注ぎこんでいたため、行き場をなくしたエネルギーをもてあまし、精神のバランスを崩してしまったのである。当時、剣道により体現した「気」という概念は大きく私の心を捉えていた。誤解を恐れずに言えば私は、「気」をみることができるようになっていた。だが、それがなんなのか説明することはできなかった。そのため授業のない日は古本屋に通いつめ、哲学、仏教、自然科学と名のつく本をむさぼるように読んでいた。大量の本から「気」の概念を学び、疑問を理屈で埋めることで思考を整理することができた。私の自我は確立していた。そのため、剣道を売りものにするという選択はなかった。職業にしてしまうことで、業界の決まったやり方を強制されることがわかっていたからだ。
くぐもったエネルギーを、本と向き合う生活に向け、卒業後も9時~6時は毎日、図書館にいた。学ぶことを何よりも優先し、効率良く深夜に稼げる仕事を求め、飲食店やトラックの運転手、宅急便など、様々な職業を点々としていた。
そうこうするうちに、野菜市場の仲買人として働くようになる。そこでの仕事は思いがけず性に合っており、社員にという打診も受けていた。
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坂上隆 サカウエタカシ
農業生産法人 株式会社さかうえ
社長
1968年鹿児島県生まれ。24歳で就農。コンビニおでん用ダイコンの契約栽培拡大を通して、98年から生産工程・投資・予算管理の「見える化」に着手。これを進化させたIT活用による工程管理システム開発に数千万円単位で投資し続けている。現在、150haの作付面積で、青汁用ケール、ポテトチップ用ジャガイモ、焼酎用サツマイモなどを生産、提携メーカーへ全量出荷する。「契約数量・品質・納期は完全100%遵守」がポリシー。03年、500馬力のコーンハーベスタ購入に自己資金3000万円を投下し、トウモロコシ事業に参入。コーンサイレージ製造販売とデントコーン受託生産管理を組み合わせた畜産ソリューションを日本で初めて事業化。売上高2億7000万円。08年から食品加工事業に進出。剣道7段。
坂上隆の幸せを見える化する農業ビジネス
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