ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

坂上隆の幸せを見える化する農業ビジネス

動けばわかる


すべてはつながっている

 農業を始めたきっかけは人それぞれだと思う。私の場合、その糸口は剣道の竹刀を置いたことだった。

 私は幼少のころからずっと剣道に打ち込み、大学ではそれなりに大きな剣道部で大将も務めていた。そのため4年生で部活が終わってしまうと、空虚な気分に陥った。それまで剣道にすさまじいエネルギーを注ぎこんでいたため、行き場をなくしたエネルギーをもてあまし、精神のバランスを崩してしまったのである。当時、剣道により体現した「気」という概念は大きく私の心を捉えていた。誤解を恐れずに言えば私は、「気」をみることができるようになっていた。だが、それがなんなのか説明することはできなかった。そのため授業のない日は古本屋に通いつめ、哲学、仏教、自然科学と名のつく本をむさぼるように読んでいた。大量の本から「気」の概念を学び、疑問を理屈で埋めることで思考を整理することができた。私の自我は確立していた。そのため、剣道を売りものにするという選択はなかった。職業にしてしまうことで、業界の決まったやり方を強制されることがわかっていたからだ。

 くぐもったエネルギーを、本と向き合う生活に向け、卒業後も9時~6時は毎日、図書館にいた。学ぶことを何よりも優先し、効率良く深夜に稼げる仕事を求め、飲食店やトラックの運転手、宅急便など、様々な職業を点々としていた。

 そうこうするうちに、野菜市場の仲買人として働くようになる。そこでの仕事は思いがけず性に合っており、社員にという打診も受けていた。

関連記事

powered by weblio