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過剰の対策、欠乏の克服

土の不足成分を計算する


誰が何のために土壌分析をするのか?

 土壌分析と施肥設計というのは、土を診断して処方箋を書く仕事といえます。残念ながら現状では、どちらも共通して評判が悪いようです。

 まず土壌分析はどうでしょうか。土壌分析を依頼して、返ってきたデータを見た感想は皆同じです。いくつも項目が並んでいて、それぞれ数値が記されているが、意味がわからない。何をどのように解釈したらよいかわからない。うまくできている畑の評価がよいとも言えない。作物がうまく育たない畑の分析値を検討したところ、特に問題は見あたらなかった。などなど、経験のある人はたくさんいるのではないでしょうか。

 施肥設計となると、さらに不信感を抱く人は続出です。これは古くて新しい課題です。つまり、分析業務を行う組織や機関あるいは企業が、施肥の処方箋を書くにあたって、自らの利害に関わることを介入させてしまうという問題です。例えばA肥料店が分析すると、分析料は無料であっても、その処方箋にはA肥料店の販売につながる資材が列挙されているというパターンです。

 これは組織がもっと大きくなり、例えば協同組合という形をとっていても同じことが言えます。この問題はかつて肥料がまだ単肥しかなかった時代、つまり硫安や過リン酸石灰や塩化カリを購入して、農家が庭先で配合していた時代は、まだ健全でした。

 その理由は肥料が配給品であったり、価格が全国統一であったりすることで、土壌分析による施肥の処方箋に対して、中立の立場を保てたということでしょう。もっとも単肥は、今でも全国統一価格となっています。

 それから世の中全体が、限られた貴重な肥料を畑で無駄なく使うためには、どうしたらよいかと真剣に考えていた時代であったともいえます。

 いずれにせよ施肥量や用いる肥料の種類、銘柄までもが、農家の信頼の中にあったことは事実です。であるならば今、我われは何を反省すべきなのか、考えてみましょう。

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