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誰が何のために土壌分析をするのか?
土壌分析と施肥設計というのは、土を診断して処方箋を書く仕事といえます。残念ながら現状では、どちらも共通して評判が悪いようです。
まず土壌分析はどうでしょうか。土壌分析を依頼して、返ってきたデータを見た感想は皆同じです。いくつも項目が並んでいて、それぞれ数値が記されているが、意味がわからない。何をどのように解釈したらよいかわからない。うまくできている畑の評価がよいとも言えない。作物がうまく育たない畑の分析値を検討したところ、特に問題は見あたらなかった。などなど、経験のある人はたくさんいるのではないでしょうか。
施肥設計となると、さらに不信感を抱く人は続出です。これは古くて新しい課題です。つまり、分析業務を行う組織や機関あるいは企業が、施肥の処方箋を書くにあたって、自らの利害に関わることを介入させてしまうという問題です。例えばA肥料店が分析すると、分析料は無料であっても、その処方箋にはA肥料店の販売につながる資材が列挙されているというパターンです。
これは組織がもっと大きくなり、例えば協同組合という形をとっていても同じことが言えます。この問題はかつて肥料がまだ単肥しかなかった時代、つまり硫安や過リン酸石灰や塩化カリを購入して、農家が庭先で配合していた時代は、まだ健全でした。
その理由は肥料が配給品であったり、価格が全国統一であったりすることで、土壌分析による施肥の処方箋に対して、中立の立場を保てたということでしょう。もっとも単肥は、今でも全国統一価格となっています。
それから世の中全体が、限られた貴重な肥料を畑で無駄なく使うためには、どうしたらよいかと真剣に考えていた時代であったともいえます。
いずれにせよ施肥量や用いる肥料の種類、銘柄までもが、農家の信頼の中にあったことは事実です。であるならば今、我われは何を反省すべきなのか、考えてみましょう。
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関祐二 セキユウジ
農業コンサルタント
1953年静岡県生まれ。東京農業大学において実践的な土壌学にふれる。75年より農業を営む。営農を続ける中、実際の農業の現場において土壌・肥料の知識がいかに不足しているかを知り、民間にも実践的な農業技術を伝播すべく、84年より土壌・肥料を中心とした農業コンサルタントを始める。 〒421-0411静岡県牧之原市坂口92 電話番号0548-29-0215
過剰の対策、欠乏の克服
「土壌診断」という言葉は農業界に浸透し、多くの人がその必要性を感じているものの、調査は専門機関に委ね、その処方に基づいた施肥を行なってきたのが現状だ。ここでは現場で農業者が主体となって行なう土壌調査と診断方法について紹介していく。
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