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ブレイクポイントは高級スーパーでの試食販売
こだわりの果物作りと商品構成で現在1万人を越える顧客リストを持つまでになった観音山フルーツガーデン。ブレイクしたきっかけは7年前に遡る。03年から始まった高級スーパー紀ノ国屋での和歌山フェアーに、みかんとレモン、柿(甘秋)を出展。5年間で延べ50日店頭に立って試食販売をしたのだ。
みかんを試食したほとんどの客は果物を笑顔で買い物籠に入れた。神奈川県の鎌倉店、青葉台店、東京の国立店、吉祥寺店、等々力店……チラシを配りながらお客様に話しかけると、目の前で商品が瞬く間になくなり、次の入荷まで欠品するほどの盛況ぶりだった。
「一番印象に残ったお客様のご感想は“昔懐かしいお味ですね”というお言葉でした」
その時は意味が分からなかった。後からそれが“打ち痛みがない”という意味だと悟り、前述のこだわりに繋がる。この時のお客様との会話が、その後のネット販売にも大きく活かされていくことになった。当時、わざわざ収穫の繁忙期に東京まで試食販売に行くのは勇気のいることだったが、それまでにネットの顧客から得た知識で店頭販売に自信が持てるようになっていた。こうした活動の狙いは、当日の商品の販売よりも1人でも多く試食してもらいながら、観音山のPRをすることにあったという。1枚でも多くリーフレットを持ち帰ってもらい、個人ユーザーを獲得できるかによって、ネット販売の売上は左右するのだ。
いかに雇用を創出するか
4年前に6代目の芳典(33歳)が入社すると、ウェブショップの店長となり、運営管理やSEO対策、顧客対応などを更に充実させていった。芳典は2カ月に1度、京都で開かれる30名ほどのネット通販事業者による勉強会に参加しながら、どうしたらネットで集客できるか学んでいる。異業種の女性からは、とにかく美味しいそうな写真を載せることが一番大切だと指摘され、写真にこだわるようになったという。
さらに、「みかんの祖PRプロジェクト」「地域活性化プロジェクト」など、商品に関係する様々な話題や、地域の問題に対しての取組みを伝えるコンテンツを情報発信するようになった。それで直接の売上げがある訳ではない。しかし、それは観音山フルーツガーデンが世に問う、農業に対する姿勢そのものである。こうした取組みはブランドの価値でもある。
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児玉典男 コダマフミオ
(有)柑香園(観音山フルーツガーデン)
代表取締役
1949年、和歌山県紀の川市(旧那賀郡粉河町)生まれ。1972年、三重大学農学部卒業後、2柑香園に入社。明治時代から100年近く続くみかん園の5代目の園主となる。会社名とは別に商標登録した「観音山フルーツガーデン」により農場のブランド化に成功。100%直接販売で売上は約7,000万円。和歌山通訳ボランティアクラブ発起人、農業情報ネットワーク全国大会事務局長などを歴任、地域貢献活動にも積極的に関わっている。
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