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それと同時に大事なのが、日本の文化を海外に持っていくことね。いまさら寿司だの漫画だの言うまでもねえけど、欧米の人なんてわざわざ向こうから求めてるんだよ。逆にトヨタなんかもうお呼びじゃないの。クルマも家電も技術的な優劣なんてどんどん縮まってるし、自国生産もやってるでしょ。そしたらこれからは日本にしかないものを売りにするしかねえじゃん。それが日本の文化なんだよ。
たとえば日本茶に人気があるなら、ただキッチンでお茶を淹れて飲むだけじゃなくて、茶室があったほうがいいよって教えてやるわけ。日本の茶道では、こうやって大事なお客さんをもてなすんだって言えばいい。だっていま千葉の植木屋がなんで儲かってると思う? 世界中から植木を買い付けに来てウハウハだよ。ヨーロッパじゃ盆栽が人気だし、中国はカネ持ちがでかい家を建てるようになって立派な庭木がほしいわけ。だったらその流れで茶室をつくりましょうって提案してやればいいだけじゃん。
そんで間伐材を利用した組み立てキット式の茶室を、輸出用に商品化したらいいの。そうすっと林業の雇用も生まれるし、森林も活性化するでしょ。過疎の問題なんて片付いちまうじゃんよ。
しかもよ、なかには組み立て式じゃなくて「俺は本格的な茶室を建てるんだ!」っていう熱心な人が出てくるかもしれねえよ。そしたら大工さんは必要だわ、左官屋さんは必要だわ、いろんな職人が引っ張りだこじゃん。ハッピ姿の職人が、パリやら上海やら出張で大忙しだよ。日本の文化を輸出するってのは、日本で縮小している産業がそうやって息を吹き返すことになるんだよ。
もう日本の国内のことだけを考えていたってしょうがないの。そりゃグローバル経済ってのはおっかないところもあるよ。だけどここまで時代が変わってきたら、後戻りできねえよ。半分良くて半分悪けりゃ差し引きゼロってことにするしかねえじゃん。それで国内産業が活性化すれば、地域だって元気になるしね。
これからは一方的なつながりじゃなくて、必ず「融合」っていうコンセプトが発展していくはず。それは均質化でもなくて、いいとこ取りで新しいものを生み出すってこと。せっかく世界の人は日本ほどわけのわからねえ国はないって見てるんだから、それをうまく活かしていったらいいんじゃねえかな。
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浅野悦男
エコファーム・アサノ
1944年千葉県八街町(現八街市)生まれ。農業高校中退後、17歳で就農。その後、麦・落花生・サツマイモ中心の経営から野菜へと転換した。現在は高品質な西洋野菜を100種類以上作り、各地のレストラン向けに販売。シェフたちとのメニュー作り、新たな食材作りにも取り組む。本誌35号農業経営者ルポに登場。【経営データ】●面積/畑地2.5haで100品種を超える西洋野菜を栽培。●労働構成/夫婦と甥の3名。●取引先/全国100店舗以上のレストランに直販。
エコファーム・アサノ 脳業発想力
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