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ちょっとちがうぜ中国で農業

中国から沖縄の“小さな農業”を考える



 さらに、沖縄を考える場合には、未来においても受け入れられる価値を持った沖縄の“ホンモノ”をつくることも求められてくるだろう。伝統・歴史・風土をベースに、新しい発想を加えたモノだ。

 沖縄は長寿の国といわれるが、それは伝統に秘密があり、医食同源を中心にした食生活が長寿を支えている。海に抱かれたたくさんの島もあり、現代人が求めている“癒し”というものも内在している。一方、戦争や米国の統治で基地の多い島であり、実に多彩な顔を持っている。地理的には日本の都市よりも外国の方が近く、鹿児島より台北、福岡より上海・香港、大阪よりもソウルの方が近いアジアの要石でもある。沖縄のホンモノをつくる材料はいくつも考えられるだろう。


健康をベースにした沖縄農業

 沖縄の農業の特色を考えると、先に挙げた医食同源、つまり健康を基軸とした農業であることだろう。

 沖縄では農業をする人も、そして植物たちも健康でなくてはならないという発想がベースにあり、植物を健康にする栽培方法が最も必要とされている。農薬と肥料を多量に投入して収穫するという農法は、沖縄の狭い島には似合わない。台風の襲来でさえも沖縄の農業にとっては恵みとなる側面もある。台風は水を供給するだけでなく、畑に海のミネラルを自然に散布し、それによって連作障害なども忌避できるようにしてくれるのだ。

 また、沖縄に伝わる薬草を使った有機栽培など、新しい試みも生まれている。生薬としても幅広く用いられるウコンは、健康を基軸とした沖縄農業の代表的な作物で、ウコンによって加工業も大きく発展した。亜熱帯性気候を活用することで、さらに植物相を拡大し、ほかの作物をつくることも可能になるはずだ。

 沖縄の農業にとって、長寿・健康・癒し・ゆとりといった情報発信のキーワードは、アジア進出につながる道でもある。日本だけに目を向ける必要はない。アジア地域への距離を考えれば海外にも大きな視野が開けている。

 農業経営という新しい軸に立脚した農業を構築していく生き方、それに加えて、歴史や伝統に根ざした“小さな農業”として多様な農業の展開が生まれることでこそ農業は再生する。それが沖縄農業の生きる道だろう。ほかの地域の小さな農業が進むべき道を考えるヒントも、ここに見出せるのではないだろうか。

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