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土壌学や肥料学では作物は作れない
最近、各地で農業経営者による土や肥料の研究会に参加する機会が増えています。その理由として、まず約3年前からの肥料価格の高騰が挙げられるでしょう。それまであまり気にかけることのなかった肥料コストが急激に上昇し、許容範囲を越えてしまったことで、本当に必要な肥料は何で、どれだけ施用量がいるのか、皆が模索し始めているのではないかと思います。
次に、収量が伸び悩み、採算ラインに達しなくなってきたことが、肥料のやり方や土壌改良資材の使い方の誤りにあるのではないか、と気づき始めたこともあるでしょう。さらには公的機関にこれらの対応を求めても、そのスピードが現実的でないこともあるかもしれません。
このような場合、農業経営者にとって最も大切なのは、土を診断する機会に土のメカニズムを知ろうとすることであり、土を調べる方法にはどんなものがあるのか興味を持つことです。またこれまであまり強調されてこなかったのですが、自分以外の畑や水田の事例を知ることも大切です。
とはいえ、土を考えるうえで最も大切なのは、土に対する長年の勘と経験です。これが何といっても一番であり、80%ぐらいはここで判断していくものです。これから何十年先も農業とはそうした職業であろうと思います。その勘と経験をより活かすことを目的に、基礎理論を身に付けようという考え方が正しいと思うのです。
ここが誤解されやすいところで、ややもすると「学問で農業ができる」とか「数値で作物を育てることができる」とか思われがちですが、それは正しくありません。土壌学や肥料学では、作物はつくれません。
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関祐二 セキユウジ
農業コンサルタント
1953年静岡県生まれ。東京農業大学において実践的な土壌学にふれる。75年より農業を営む。営農を続ける中、実際の農業の現場において土壌・肥料の知識がいかに不足しているかを知り、民間にも実践的な農業技術を伝播すべく、84年より土壌・肥料を中心とした農業コンサルタントを始める。 〒421-0411静岡県牧之原市坂口92 電話番号0548-29-0215
過剰の対策、欠乏の克服
「土壌診断」という言葉は農業界に浸透し、多くの人がその必要性を感じているものの、調査は専門機関に委ね、その処方に基づいた施肥を行なってきたのが現状だ。ここでは現場で農業者が主体となって行なう土壌調査と診断方法について紹介していく。
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