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農業会計ソフト

税務申告の省力化プラス経営改善のメリット

ソフト選択の目安と使いこなすために


 前の項で最近の簿記ソフトが装備している機能の一端についてふれたが、購入という段になった時、どのソフトを選んだらよいかたずねられることが少なくない。そんな時は、近くで同じ農業分野の農家でパソコン簿記を活用している人がいるかどうかを聞き返すようにしている。もしいればその人が本当に活用できているかどうか、まずたずねるようにと話をする。上手に使っていれば、同じソフトを使ってまず間違いがないだろう。

 そんな農家が近くにいないというときは、こんな点に気をつけて選択してみたらどうだろう。一つはメニュー。ある仕事をし、次の仕事に移るときにとくにマニュアルを読まなくてもメニューをじっと見ていると何となく分かってくるようなソフトが、まごつかなくて使いやすい。また、人力画面は、いくつか用意されているソフトを選びたい。入力はパターン入力が出来ないタイプ、いちいちそのたびに勘定科目を選択するタイプはさけた方がよいだろう。まして、その選択する項目が、同じ画面に出てこず、勘定科目などを一度印刷しておいて、それを見ながら人力するタイプのソフトは決定的に避けるべきだと思う。

 固定資産の登録数も確認するようにしたい。酪農で草も作っているような経営だと、固定資産数がかなりになる。購入してから入力数が足りなくなっても困ってしまう。

 以上のような点が満足されていて、同じ価格で経営分析がついているソフトとついていないソフトがあれば、当然ついているソフトの方がお買い得ということになる。1万円から2万円程度高くなるくらいであれば、経営分析がついているソフトを購入しておくことがベターだろう。

 さて、ソフトを購入し使用することになったとする。上手に使えるかどうかは、こうした専門性の高いソフトでは、作りがよくできていれば、コンピュータ操作上の難しさはさほどのことはない。むしろ、複式の基本的な意味が理解できているかどうかで活用できるかどうかが決まってくる。といっても簿記の難しい内容まで覚える必要はないだろう。要は取引は、相手から自分に入る物があれば同じ価値の物が出ていき、その出入りを貸方・借方の両方から記録していくのが複式であり、その記録に勘定科目が使われる。

 勘定は、大きく財布の中の私の財産の資産、資産の理由である借金の負債、私の努力の資本、作物を作って売るためにかかる経費、そして作物を売ることに当たる売上の五つからできていることなどを理解すれば何とか使えるようになる。取引ごとに貸方が何になり、借方は何になるかを決めることを仕訳というが、仕訳についてはイラスト入りで書かれた本が本屋さんにいくと山とつまれているので、そんな本を一冊読んでおけばなんとかなるだろう。

 仕訳さえ分かっていれば、後は何とか使いこなすことはできるはずだろう。特別な仕訳は、JAの相談課にいけば親切に教えてくれるだろう。


簿記ソフトを使って経営改善


 知り合いの養豚農家は、パソコン簿記を使いだして三年になるが、税務申告の省力化はもちろんだが、むしろ経営改善に大いに役立っている。

 パソコン簿記を使うことで、きちんと経費、売上が出てくるが、これを出荷キロ数で割ることで、キロでそれぞれの経費、売上を計算している。これを一年、二年と続けることで、技術と経費の関係をきちんと後づけている。技術が当たると経費はずっと少なくなり、それによって技術を評価し、翌年に生かすという使い方だ。

 手書きではなかなかやれなかったことが、パソコン簿記ではできるようになり、効果は小さくないという。また、貸借対照表も出すことで、経営の財政状況が把握でき、技術の導入への金銭的な面からの不安感は少なくなり、場合によっては大胆な新技術の導入も可能になったという。

 簿記ソフト、単にお金の計算、税務申告の省力化と見られがちだが、もう一歩進めることで、パソコンを使って記帳していくことで得られるメリットはまだまだ出てきそうだ。

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