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今年の市場相場を読む

加工・業務用対応が進んでいる野菜、キャベツ、レタス、ネギ、ニンジン

ここ2~3年の間、中国野菜の敬遠気運を受けて、加工・業務用分野での原材料の国産化が進展してきた。また、農家の経営健全化や手取り確保などの観点からも、いわゆる契約的な取引の割合が増えている。ただ、こうした動きも市場出荷と平行していることが多いのが実情だ。一部に直接契約の直接納入という部分はあるものの、市場の予約相対取引との組み合わせや、数量や価格が相場連動になるものも少なくない。そのため、加工・業務用対応が進んでいる品目においては、入荷量のちょっとした増減でも、過敏に相場の乱高下が起きるケースが増えている。注意して観察したい点だ。

キャベツ 業務需要の活性化で増産傾向。加工に特化した大玉生産を

【概況】

東京市場のキャベツは、基幹品目であることから経年経過を見ても比較的安定した入荷となっている。ただ、09年は前年比で7%もの入荷増となり、しかも単価が6%高くなった。東京市場における主要産地は群馬、愛知、千葉、神奈川だが、関東から東北・北海道にかけて出荷してくる産地が多く、すべてが露地栽培であるために天候の影響を受けやすい。そのため入荷の増減は珍しくないが、市場関係者の見方は違う。

【背景】

主要産地だけでなく、その他の産地においても増産意欲が強いと市場関係者は見ている。その背景には、各産地とも加工・業務用への対応や、契約取引を増やしていることがある。実は08年に5800t程度だったキャベツの輸入は、09年に1万3000tと倍増した。これは加工・業務用の需要が活性化していることを意味する。国内産地の契約取引も増えているため、全体的な生産増でこれらの需要に対応しようとしている。

【今後の対応】

今年の春にキャベツが久しぶりに暴騰したことも、この傾向と無関係ではない。産地が契約部分を優先したため、市場出荷品が極端に減ったのである。かつては年間5万t以上あった輸入も、ようやく1万t程度に減っている。国内産地としては、加工用に特化した大玉生産を別枠で確保していく方向性が望ましい。一般流通品で数量調整をするという無難なやり方をしていると、需要者が輸入品に逃げていく余地を作ってしまう。

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