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【今年の市場相場を読む】
加工・業務用対応が進んでいる野菜、キャベツ、レタス、ネギ、ニンジン
- (株)農経企画情報センター 代表取締役 小林 彰一
- 第168回 2010年05月31日
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レタス 夏と秋に暴落、暴騰が目立つ。契約取引を大枠にきめ細かな分荷を
【概況】
東京市場のレタスは、冬は香川と静岡、春は茨城、夏は長野で、その後再び茨城に戻るという産地リレーが確立され、ほとんど山谷のないコンスタントな入荷である。また、年間入荷の推移は増減を繰り返しながらも、ほぼ一定量に収まるというパターンだ。しかし相場で見ると、近年では夏と秋に暴落または暴騰するケースが多い。なお、結球レタスの年間輸入量は、3000~4000tでほぼ変化がない。
【背景】
暴騰、暴落傾向のある夏は、長野産が中心。その後、秋に向かって茨城産に移行していくが、この時期に相場が乱高下するのは、台風や秋霖など天候不良の影響を受けやすいのが一因である。その一方で、契約取引の割合が増えているからという指摘もある。輸入レタスのほとんどがカット加工用であることが象徴するように、加工・業務用の需要は強い。家庭用でもいまや必需野菜となっており、スーパーや生協などに対する契約取引も増えている。
【今後の対応】
長野では予約相対を利用したレタスの契約取引が4割にも達している。茨城でも受注生産方式を基本としたVFステーション経由の取引が多い。流通量のうち契約部分の割合が多くなってくると、どうしても需要側の弾力性が落ちるため、多少の入荷増減が極端な高安につながりやすい。産地としての対応の基本は、契約取引で収入の大枠を確保しつつ、一般流通のものはきめ細かな分荷を心がける、ということになるだろう。
ネギ 輸入激減で国産が増勢。格外品の恒常的な商品化を仕かけよ
【概況】
東京市場のネギは、需要のピークが秋から冬にかけての鍋物シーズンだとはいえ、年間を通じてコンスタントな入荷を続けている。06年に7万2000tあった輸入品は、翌年以降5万t、3万3000tと減っているが、全体の入荷量は落ち込んでいない。むしろ増勢にあるし、単価も安くなっていない。根深ネギは圃場で出荷調整できることもあるが、輸入品の減少が相場堅調を支えている。
【背景】
輸入品は3万t強という数量で下げ止まった。ただし東京市場への輸入ネギの入荷量は漸減状態だ。小売業界がほとんど手を出さないからだが、逆にいえば市場流通しない加工・業務用での利用が増えているということである。需要構造的には6割を占める業務用のほとんどが市場仕入れであるため、大小産地がこぞって市場出荷しても、国産なら受け入れのキャパシティがある。納入業者の立場からいえば、国産が増えれば輸入品が不要になるのだ。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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