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【読み切り】
「新食糧法」をどう読むか
米産地の淘汰選別促す新食糧法
- 土門剛
- 1994年12月01日
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新食糧法六つのポイント
まず、新食糧法が旧食管法と違う点を整理したのが以下のとおりである。六つのポイントを簡単に説明しておこう。
ポイント1:計画流通米制度
旧食管法で政府米と自主流通米を合わせた「政府管理米」を「計画流通米」と呼び変え、従来ヤミ米と称された「不正規流通米」は「計画外流通米」として制度の中に取り込まれた。
ポイント2:生産者
旧食管法では、生産者には政府への売り渡し義務が課せられ、販売は集荷業者である農協などに委託することが原則だった。新食糧法では、その売り渡し義務が撤廃され、生産者は集荷業者へ販売を委託する以外にも、小売りや卸業者、消費者などへ直接販売することが可能になった。
ポイント3:出荷取扱業者
旧食管法の集荷業者は、新食糧法で出荷業者に名称変更され、農水大臣の指定制から農水大臣への登録制になった。参入障壁となる減反協力要件が新たに付け加えられた。
ポイント4:自主流通法人
旧食管法の指定法人は、新食糧法で自主流通法人に名称変更した。新たに備蓄義務を負わせた。
ポイント5:卸・小売り
卸・小売りとも都道府県知事の許可制から登録制になった。卸・小売りとも登録要件が緩和され新規参入が容易になった。また小売りの卸からの買い受け登録の要件は撤廃された。
ポイント6:入札制度
財団法人自主流通米価格形成機構は、農水大臣が指定する自主流通米価格形成センターに名称変更。同センターが米の入札を実施することについて法律で明記した。
以上の六つのポイントをふまえ、新食糧法をどう読むべきかを考えてみたい。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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