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木内博一の和のマネジメントと郷の精神

年収75万円——「農業に未来はない」

ニンジン畑での決意

 ところが畑の真ん中で大きなため息をつく私を尻目に、母はいつ終わるか先が見えない作業を黙々とこなしている。そんな母の背中を見ながら、私はつくづくと思った。

 「お袋はたいしたもんだなあ……」

 子供の頃からやんちゃで、少々アウトローな生き方をしてきたので、当時の私は人を尊敬するということを心がけてはいなかった。自分の目標が見つからない苛立ちもあり、むしろ両親や大人のいうことに対して、反抗期の子供のようにそっぽを向くようなところがあった。

 しかし職業としての農業に接し、大人の大変さを知ったときに、両親や祖母、曽祖母といった自分を育ててくれた人たちの人生を思い、尊敬の念を抱くようになった。

 それと同時に、こんな思いを抱くようにもなった。

 母のように、農村でひたむきに生きてきた女性たちがたくさんいる。畑で忙しく働き、子供も育てていく、そんな女性たちが農村を支えてきたのだ。にもかかわらず、農業は「3K」以下とまでいわれることさえある。それに、自分自身、職業は何かと聞かれて「農業」と胸を張っていえないではないか。

 これじゃ、駄目だ。農業を人が憧れるような仕事にしなくてはならない。もっと存在価値のある、もっと事業的な農業に―。このとき生まれてはじめて私は決心をした。

 「よし、だったら俺が、農業を変えてやろう」

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