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今年の市場相場を読む

輸出が期待できる野菜類、ナガイモ、カンショ、ギンナン、ワサビ

品質のいい日本産の果実には海外マーケットからのニーズがあるが、野菜類はなかなか難しい。海外に在住する日本人への供給という意味ではなく、現地の人が安定的に購入する環境が整わなければ、本来の意味での輸出促進にならないからだ。それでもいくつかの野菜品目は、東南アジアの国に浸透しつつあり、またこれから期待できる品目もある。野菜の輸出には専門の商流と物流が必要で、産地や農家はなかなか直接商売ができない。輸出が増えたら国内価格が高くなるといった見方ではなく、海外マーケットではどんな品目に需要があり、どんな条件が必要なのか知っておく必要がある。

ナガイモ 販売額330億円の輸出頭に。不作予想でも輸出商材の確保を


【概況】

東京市場のナガイモは、05~06年に入荷が急増して単価を下げたが、以降、入荷は抑制傾向で単価もキロ250円前後に落ち着いている。秋掘りと春掘りとがあるが、近年では需要期の夏場に焦点を当てた春掘りが増加傾向にある。また、1本売りできるS、2S規格の割合が高まり、生産効率の向上とともに、貯蔵技術や鮮度保持技術も改善されてきた。太物の単価も下がり、全体的に買いやすい商材になっている。

【背景】

05~06年に市場出荷を増やして単価を4割以上も下げたが、実は輸出が本格化したのもこの頃である。09年実績でナガイモの輸出額は約330億円、数量で9000t程度あると見られ、野菜類の輸出品目ではダントツのトップだ。特に北海道などの大型産地で生産効率が向上して生産量が急増。それに対応して輸出という新しいマーケットを得たことで、市場出荷を抑制しながら単価を回復させたという構造が見えてくる。理想的な展開だ。

【今後の対応】

これまで順調に輸出を伸ばしてきたナガイモだが、今年は春の天候異変が秋作の作柄に影響しそう。国内需要優先という事態になれば、輸出が抑制される懸念がある。4L級で3100~3200円程度が輸出のための上限価格だといわれるが、台湾などでは健康志向の高まりで日本のナガイモに対する需要が成長しているだけに、なんとか輸出向けの数量は確保したいもの。小売店頭まで品質・鮮度を保持する包装流通と調理提案が課題だ。

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