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ダイコン 「浅漬けの素」人気による消費増の可能性を逃すな
【概況】
平成四年には周年を通じて低迷した感のあったダイコンも、平成五年には年明けから春にかけて好調。五月に反動のように単価安となるが、夏場は高騰した。ダイコンは家庭用から業務用、加工用と需要の底辺が広い品目であるため、年間を通じてかなり数量が入荷する。春に多く夏場には少なくなるが一〇月ごろに秋のピークがあり、年末需要で一二月は増えるというパターンは変わらない。平成五年の場合は、夏場に高騰し、秋から冬場に低迷した。しかし、平成六年に入ると持ち直したが、夏場の高温で出荷の前進化や作柄不良で秋には品薄。
【背景】
入荷の推移は、平成元~四年までと、平成五年はそれほど大きく増減があった訳ではない。しかし夏場には本来は安くなる時期に高騰し、秋の需要期には入荷増もあって安値傾向とはなるものの消費はついてくるものだ。しかし、平成五年は秋~冬に値崩れした。夏場の高騰は、主に東北、北海道などシーズンの主要産地の作柄が悪く出荷が減少したが、東京市場にだけは例年に近い入荷が確保されたためだ。秋は入荷が減りながらも価格を下げたのは、産地の作柄が好転し、逆に地方にも潤沢に出回り、中央からの転送が激減したためだ。
【今年の対応】
今年の秋は、サンマの豊漁であったが、当初は珍しくダイコンが潤沢だった。サンマとダイコンの出来は逆になるというジンクスがある。しかし、夏場の高温の影響や作付けの前進傾向で、果たせるかな一一月にはやや品薄傾向もあり、ジンクス通りとなったようだ。今年の冬は、どうやら暖冬となるらしい。鍋物やオデンなどの需要が元気がなければ、ダイコンの動きは余り期待できない。平成六年の年初めは冬らしい冬となったため、ダイコンは堅調に推移したが、どうも今年は期待薄か。ただし、浅漬け需要でこのところダイコンの人気は悪くない。エバラ食品などの「浅漬けの素」の売れ行きが順調で、家庭で手軽に漬ける風潮が強まっている。この状況を見て、一一月からはハクサイ(茨城)が、年明けには長ナス(福岡)が、「浅漬けの素」との提携企画を打ち出した。ダイコンも乗り遅れてはならない。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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