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ゴボウ 季節商材の強みを武器に直接取引や商系との提携の模索を
【概況】
平成四年は、ゴボウにとっては前半に暴騰して後半は低迷した年であった。そのため、平成五年は前半(七月まで)が安く、後半は高くなった。毎年、この前年との逆転現象は起こる。今年高かったら、来年は作付面積を増やす、逆の場合は減らすという動向となるため、二年ごとによく似た年間推移をたどるという、面白い品目だ。平成元~四年までの平均と五年とを比べると、一~四月は入荷は多く、六月以降は少ない。だから単価は前半安く、後半は高いという推移。これほど入荷と価格の推移が連動する品目も珍しい。
【背景】
ゴボウは系統出荷の他に、商人流通がかなりのウェイトを占める品目である。貯蔵性が高く、加工仕向け量もかなりあることから、出荷をコントロールしやすい。この需給調整ばかりは、系統団体は商人にはかなわない、といわれる。かなり相場も変動するため一見分かりやすく、今年高いなら来年作付けてみようか、と思う生産者は多いようだが、みごとに安値になり、次の年はもう作らない、とこりてしまうのがよくあるパターンだ。貯蔵施設を持ち、多くが加工まで手がけ、仕入れチャネルも多岐にわたる商人系の調整機能には、挑戦しないほうが無難だ。
【今年の対応】
卸売市場を舞台に勝負をかけるのは危険であることは述べたが、産直や直接取引となればその限りではない。しかし、単一の産地ではどうしても周年対応できるわけではないので、不利なことは否めないところだ。だが、同じゴボウでも「新ゴボウ」などはその限りでない。季節商材としての差別性なら、周年という要素がなくても勝負できる。また、他に大型品目を持つ産地や周年で商品ローテーションを確立しているならば、既存の取引先との継続した関係の中に、ゴボウとその加工品も’相乗り‘させることは可能である。さらに、発想を市場対応ということに置かず、その敵に回したら怖い商人と提携するという思い切った方法もある。取引はかなりシビアな面があるはずだが、安定して計算できる経営も可能になるだろう。何度もいうが、ゴボウは市況に惑わされてはいけない。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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