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そんで売る時期も理由があって決めるの。満月の頃の1週間なんてちょうどいいね。満月に向かって本能が目覚めるから、みんな行為に及びたくなるわけ。そんなときに精力がつくとか、女性ホルモンのバランスが保てる食べ物があればいいじゃんよ。農業の役割として、少子化対策にもなって、健康にもいい商品を開発するのが、俺の考える「アダルト農業」なんだよ。
だから国立ファームの高橋がなり氏がうちに来たときに「なんでアダルト農業をやらねえんだよ」って言ったの。アダルトビデオ業界なんて、昔は闇の世界だったじゃん。ヤクザもんがブルーフィルムを隠れてみんなに見せて金取ったり、ハワイ行って外国版買ってきたりしてたもんだよ。それをちゃんとしたビジネスとして成り立たせたのは、彼の力が大きいでしょ。その経験を生かせばいいの。何もマジメに農家になろうとしなくたっていいのよ。
さらにこの「アダルト農業」は食べる以外のニーズもあるよ。よくニンジンとかダイコンで男女の象徴そっくりの形をしたのがあるでしょ。うちの畑でも男女の交わりの形をしたニンジンがとれたことがある。もちろんニンジンが繁殖するために交わってるわけじゃねえけど、あの形になるってのが不思議じゃん。自然の神秘じゃん。それをがなり氏が取引先の農家から集めてネットオークションで売ったらいいんだよ。せっかく日本中の農家とつきあいがあるんだから、びっくりするような形の野菜が集まると思うよ。
こういうのはどんな大金を払ってでもほしい物好きが必ずいるの。国内だけじゃなくて、輸出だってできるよ。秘宝館なんて世界中にあるんだからよ。しかもこの世にふたつと同じものがないから、欲しいやつはどんどんエスカレートして高く売れるわけ。中国人がどんなにコピーが得意ったって、こればかりは真似して作れねえんだからさ。農家としても、今まで捨てるしかなかったものに商品価値が出るんだから、悪い話じゃねえでしょ。
農業ってのは人が生きていくための基幹産業じゃん。生きるってことは基本的にはセックスじゃん。人は自分の子孫を残そうとして生きるんだから、野菜だってただ腹を満たすためじゃなくて、精力をつけさせたり、性への情熱を感じさせる提案があってもいいじゃんよ。がなり氏もマジメな野菜の売り方の話ばかり言ってねえで、たまには昔の得意分野で楽しませてほしいよな。
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浅野悦男
エコファーム・アサノ
1944年千葉県八街町(現八街市)生まれ。農業高校中退後、17歳で就農。その後、麦・落花生・サツマイモ中心の経営から野菜へと転換した。現在は高品質な西洋野菜を100種類以上作り、各地のレストラン向けに販売。シェフたちとのメニュー作り、新たな食材作りにも取り組む。本誌35号農業経営者ルポに登場。【経営データ】●面積/畑地2.5haで100品種を超える西洋野菜を栽培。●労働構成/夫婦と甥の3名。●取引先/全国100店舗以上のレストランに直販。
エコファーム・アサノ 脳業発想力
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