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自分の経営を客観的に診断する

法人化で節税、社会保険を装備

 もう一つの原因は、売上高経常利益率が低いのではないかということです。前述のように経常利益は売上総利益から販売費及び一般管理費を控除し、営業外損益を加減して算出されます。ですから、売上高の割に経常利益が少ないということは、販売費および一般管理費か支払利息などの営業外費用が大きすぎるということです。

 試みに、次式により売上高対販売費管理費比率を計算してみると、経営者本人の報酬を考慮しなくても三四・三%となります。

売上高対販売費管理費比率(%)=販売費管理費/売上高×100

 この数値は中小企業の平均で二〇%程度であることから、C農園の水準はかなり高めであるといえます。この数値は低い方が望ましいわけですが、これを低減する方策を得るには、販売費及び一般管理費を科目別に検討していく必要があります。

 そこで、C農園の販売費及び一般管理費をみてみると、その総額の四九一七万円のうち、荷造運賃手数料が三七九九万円と八割近くを占めています。また、人件費を除くとその次に大きい費目が交際費の四一五万円であり、販売費及び一般管理費の八%を占めています。荷造運賃手数料が多いのは、C農園の経営形態などを考慮するとやむをえない面もありますが、経費削減の課題としては、これらの経費の見直しがあげられそうです。

 一方、収益性を家族所得の観点からみると、経営者本人の所得に加え、同一世帯の父と妻を加えた三人の所得は二〇〇〇万円を超えており、その水準はかなり高いものになっています。さらに、弟については別世帯のため、これとは別に給料が支給されています。


診断結果
借入金と上手につきあう


 C農園の支払利息は一四一万八〇〇〇円。これに対して長期借入金の残高は二八九五万一〇〇〇円で、借入金の平均利子率は約四・九%です。この水準は決して高いものではありませんが、農地等取得資金など三・五%の低利資金を活用しているほか、農業近代化資金を中心に全体として四%台の金利の資金が多い反面、七・五%~九・四%の高い利率の借入金の残高が六四〇万円あり、借入金全体の二割強を占めています。こうした高金利の資金については、融資機関と協議して早期に返済していくことを検討する必要があります。

 また、C農園の借入金の借り入れ時期をみると、ほとんどが秋口から冬にかけてに集中しており、C農園の経営において資金需要にはかなりの季節変動があります。経営者によれば、この時期には取引条件が不利だと分かっていても、資金不足のために手持ちの園芸品を手放さざるをえないことがままあるといいます。したがって、低利の運転資金さえあれば、よりよい取引条件で販売することも可能であり、売上の向上につながります。

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