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木内博一の和のマネジメントと郷の精神

「TOKYO農業祭」を企画してみた

日本の食は「おいしい」「安全」「長寿の源」と3拍子そろっていても、それだけでは世界と勝負できない。日本農業の強みは供給から加工、サービスまで一貫した食のフード・システムにある。これを世界展開するためのショーケースとして、「TOKYO農業祭」を提案する。経済成長率の押し上げに貢献するほどの壮大な構想だ。

 最近、“金融”資本主義に対して、“公益”資本主義をキーワードに新たな動きが注目されている。例えば、日本が公的に長年培ってきて下水道インフラを世界に輸出する、新幹線とそのシステム一式を海外に導入するなどだ。官民一体となって、総合的に売り込んでいこうとの試みだ。農業界でも、同じ可能性がもっと大きなスケールで当てはまる。

 農業の世界でも農産物輸出が少しづつ盛り上がりをみせているが、これが輸出の“真打”ではない。日本農業が世界に打って出る“真髄”は、日本の洗練されたフード・システムが一体となってこそ発揮される。

 農産物の供給から加工、流通、サービスまで一貫したシステムは、極めて高度なプロセス管理と優秀な人材に支えられている。それでできた食品がまずければ仕方がないが、日本食は「おいしい」「安全」、そして「長寿の源」と3拍子そろっている。

 家庭食チェーンの「大戸屋」をみれば、このすごさがよくわかる。80種類以上のお袋の味をあのスピードであの品質で出してくる。季節メニューや限定メニューを加えれば、100種類以上にもなる。居酒屋のメニューはさらにそれを上回り、サービス面でも他国にない次元で競い合っている。これが日本のフード・システムの実力だ。世界を席巻するマクドナルドやスターバックスなど目じゃない。

 この実力の背景には、日本の野菜・果物を支える種苗から苗を植える農具・機械まで、フード・システムの川上を担う地方の中小企業が無数にある。昔風にいえば、村の加治屋さんであったり、種屋さんであったりだ。それを仕入れて一級の食材に仕立てる我われ農業経営者も全国各地に広がっている。

 そうは力説しても、下水道や新幹線と違い、農と食の一貫システムは実体として見えづらいのも事実だ。

 そこで今回、私が提案したいのが「TOKYO農業祭」だ。

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