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パリのマルシェと同じように、東京のど真ん中に大農園を作り出してしまう。候補地としては晴海の展示場。敷地を拡張して、半年くらい丸ごと借り切る。開催時期は10月10日から12月10日の2カ月間。日本の食、農を世界に示す壮大なショーケースを創る構想だ。
開催の半年以上前に、全国各地から土壌を運び込み、畑をつくる。播種して栽培を開始する。果樹でも、リンゴの木を土付き状態で運搬し、会場に植え直す。開催日が近づいてきたら、家畜を連れてくる。農耕牧畜を始め、農場、牧場そのものを東京に再現するのだ。「日本農業のすべてがわかる」イベントにし、世界中の関係者を一同に集結させる。
会場に設置するのは農園だけではない。食・農業関係の事業者にも出展をしてもらう。農機、食品加工、流通機器メーカーなどだ。
TOKYO農業祭には、飲食店やレストランなどにも参加してもらいたい。日本が世界に誇れるスイーツも重要だ。例えば、搾りたての牛乳と採れたてのイチゴを使い、スイーツをつくってもらう。海外のビジネスパーソンが、そのおいしさに目をつけ、コーヒーチェーンのように、「イチゴ・カフェ」チェーンとか「イチゴ・スイーツ」チェーンのようなチェーン店の海外展開を提案してくるかもしれない。
栃木県ブランドの世界進出
日本人が仕掛ける海外チェーン展開も当然ありだ。例えば「とちおとめ」を核に、那須産のミルクとケーキ生地には栃木産小麦を使うなどして、「オール栃木」で世界進出するプランはどうか。この事業パッケージを栃木県庁が主導すればいい。栃木県の農家と関連事業者の全体が利益を得るような形のビジネスモデルを組む。品種開発や技術支援をしてきた栃木県の公益にも寄与するだろう。県の税収も増える。県民も出資、支援し、配当を受け取る形にしてもいい。
みんながスターバックスを利用するように、ちょっとした空き時間に「ジャパン・イチゴ・カフェ」に入って、300円とか400円で美味しいイチゴのデザートなどを食べる。そういう店舗が世界に広がっていき、農産物の出口ができれば、農家は安定的にイチゴや牛乳や小麦をつくっていける。
このような公益的モデルを開発していけば、農食が一体となって、世界に進出していける。そこに、加工技術、流通技術などを持った企業も加わることによって、オール・ジャパンで世界展開をしていく。
集客が増え規模が拡大すれば、一大国家プロジェクトとして開催する。シーズンオフのときも来場できるよう、常設展にしてもいい。
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木内博一 キウチヒロカズ
(有)和郷、生産組合(農)和郷園
代表理事
1967年千葉県生まれ。農業者大学校卒業後、90年に就農。96年事業会社(有)和郷を、98年生産組合(株)和郷園を設立。生産・流通事業のほか、リサイクル事業や冷凍工場、カット・パッキングセンター、直営店舗の展開をすすめる。05年海外事業部を立ち上げ、タイでマンゴー、バナナの生産開始。07年日本から香港への輸出事業スタート。現在、ターゲット国を拡大準備中。起業わずか15年でグループ売上約50億円の農系企業を築き上げた木内氏の「和のマネジメントと郷の精神」。『農業経営者』での連載で、その“事業ビジョンの本質”を初めて明かす。
木内博一の和のマネジメントと郷の精神
起業わずか15年でグループ売上約50億円の農業ビジネスを築き上げた“農業界の革命児”木内博一。攻めの一手を極める氏の経営戦略と思考プロセスを毎月、明かしていく。
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