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ほかにもいろいろな経営者の会があるが、同友会は私の性に合っていた。会の目的は「よい会社、よい経営者、よい経営環境」と実にシンプルですばらしい。そのために考え方として、「社員と共に育つ社風づくり」を掲げている。「社員と共に社員の力をもっと引き出したい」「社員との信頼関係を築きたい」などの課題を経営者同士が共に考え、解決していく場でもある。じつに謙虚で素晴らしい。
あらゆる活動について参加も自由。異業種交流会につきものの変な勧誘なども一切ない。サラリーマンもおらず、みな向上心を持った経営者だからそんなせこい考えは初っ端からない。経営者としての悩みを話しあえる場だ。「社内や取引先には出しにくいものだが、経営者同士の学びあい、交流の中でお互いに成長していくことができる」場でもある。
何よりも同友会の活動の要は、先にも述べた「経営指針書作り」の活動だ。
経営指針書の重要性はいくら強調しても強調しすぎることはない。農家・農業法人をはじめ中小事業者の共通した悩みは、中長期の経営展望が存在しないことに起因する。これではあなたの農場は、レールを敷かないまま、どこかわからない駅に向かって突き進んでいる列車と同じである。揺るぎない理念を決め、正しい方針を定め、しっかり計画を立てる――経営指針によって、レールが固まり、向うべき駅が明らかになる。
どんな時代がやってこようが、指針書があれば不安はない。時代の変化でレールにヒビが入りそうであれば、修繕すればいい。新たな課題はいつもやってくる。指針書は毎年改定していけばいくほど、磨きがかかる。そうすると自然に、信頼できるパートナーもやってくるようになる。
これだけのことで、仕事が充実しどんどん楽しくなるのだから、不思議なものだ。
全国に経営者仲間
おそらく農家・農業法人のほとんどは経営指針書を作ったことはないだろう。今は訳知り顔で語る私だって数年前はそうだったし、日本に1000万人いる中小事業者の大半もそうだ。みんなそんなものだから今ないことを気にすることはない。
あとは作るか作らないかを、経営者が決めることだ。ひとつだけ確実に言えることは、経営者に指針がないと、社員が何も見えない暗闇にいる状態だということだ。「さかうえ」では指針書が何をすべきか、何を求められているかを社員に伝え、社員が自ら考えて行動する基準になっている。私自身、社員教育の考え方にブレが生じたり、事業の方向性に悩むときは必ず読み返す。
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坂上隆 サカウエタカシ
農業生産法人 株式会社さかうえ
社長
1968年鹿児島県生まれ。24歳で就農。コンビニおでん用ダイコンの契約栽培拡大を通して、98年から生産工程・投資・予算管理の「見える化」に着手。これを進化させたIT活用による工程管理システム開発に数千万円単位で投資し続けている。現在、150haの作付面積で、青汁用ケール、ポテトチップ用ジャガイモ、焼酎用サツマイモなどを生産、提携メーカーへ全量出荷する。「契約数量・品質・納期は完全100%遵守」がポリシー。03年、500馬力のコーンハーベスタ購入に自己資金3000万円を投下し、トウモロコシ事業に参入。コーンサイレージ製造販売とデントコーン受託生産管理を組み合わせた畜産ソリューションを日本で初めて事業化。売上高2億7000万円。08年から食品加工事業に進出。剣道7段。
坂上隆の幸せを見える化する農業ビジネス
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