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新・農業経営者ルポ

大規模経営を通して、地域と世代間の共生を図る


 「気候や環境の違う日本で、海外の機械の能力を発揮させるためには、様々な試行錯誤が必要です。その中で重要なポイントは、土を乾かすこと。土を乾かすことによって、作業の効率は確実にアップします。機械を入れたことで、土づくりの大切さを考えるようになりました」

 一智の積極的な機械の導入にあたっては、境谷と意見が対立することもあった。コンバインを買う時、境谷の試算ではどうしても採算が合わない。「1500万円の機械を5年で償却するのは無理だ」と境谷が言うと「なんで5年で償却するのか。もっと使えばいい」と一智が反論する。たしかに境谷は機械による効率の向上は認めている。

 「1台では、ただ持っているだけと見られるが、2台持っていると、あそこはまだ能力があると思われる。息子たちが加わったことで、作業受託の注文はたしかに増えましたね」と境谷は言う。

 2000年からは大豆の作付けも開始し、稲の育苗から大豆の乾燥調製まで、長期間にわたる仕事の平準化も図った。また、育苗作業が不要となる乾田直播栽培にも3年前から取り組んでいる。まだ技術的な部分で試行錯誤はあるが、「将来的には移植栽培を7割、直播栽培を3割にしたい」と一智は言う。


加工・販売はパートナーに任せ自らは生産に特化する

 2005年、一智が農産物穀物検定資格を取得して、コメの登録検査機関としての活動ができるようになった。その翌年に入社した次男の稔顕も、同じ資格を取得した。さらに稔顕は、農薬散布のための産業用無人ヘリコプターの操縦免許も取得した。

 農作業の受託、コメの等級付けから販売、さらには農薬散布の作業依頼など、様々な課題に対処できるだけの技術を会得して経営に取り組む豊心ファーム。現在の規模を家族5人と常時雇用のスタッフ2名でやっていくのは決して楽ではない。麦の収穫作業が連日深夜の1時にまで及んだ時期もある。乾燥調製も自前の施設で行なうので、文字通り、若い頃に仙台の農政局で聞いた「不眠不休」の日々が続いたこともざらであった。

 一方、コメの販売先は農協が15%、近所の老人ホームなどの施設が10%で、残りの大部分は県内の卸業者に玄米として出荷している。今のところ消費者への直接販売はほとんど行なっていない。境谷には、基本的には生産にこだわりたいという思いがある。

 「以前はコメの販売を大阪や島根や広島などかなり広い範囲でやっていましたが、これは危ない、回収できなくなるのではと思って、今は県内の卸業者に絞っています。スーパーに白米で売って、どのくらいの収入になるかを考えると、うちがそこまでやることはないという判断です。精米は専門業者にやってもらえば、それについてのリスクは負わないで済みます」

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