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【編集長インタビュー】
海外で培った技術で実現された高性能・耐久性・低価格のコンバイン
- (株)クボタ 代表取締役・専務執行役員 富田哲司
- 第73回 2010年08月31日
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アジア共通設計発売の意図とは?
昆吉則(本誌編集長) 新発売されたアジア共通設計のコンバイン『エアロスターワールド』を、本誌では非常に注目しています。実は中国で御社の販売店に行ったら、中国人のユーザーが「この機械は700時間しかもたない、前回の機械は2000時間はもった」と言っているのを聞いて、耐久性が高いことに驚いていました。それで御社の中国仕様のコンバインを輸入して、グレンタンクを加工したり、部品調達したりしようかと読者達と話していたんです。ところが、それを御社が国内で発売されると聞いて、これは農機業界が本当に農業経営者という階層の経営に注目する時代に変わってきた、一つの転換点だと感じました。この流れは将来的にどうなるのでしょうか。まずはこのコンバインを発売された意図をお聞かせ願います。
富田哲司((株)クボタ 機械事業本部長・機械海外本部長) 特別な意図というか、むしろ日本の農業の流れのなかでは当然のことです。たまたま当社がもう二十数年前から海外に出ていて、そこで培ってきたことを活用しようということです。これからは日本でも低コストを志向せざるを得ない。しかも長時間使うことになれば、当社が中国で販売しているような機械がいいのではないか。もともとはそういう発想です。
田中政一((株)クボタ 作業機事業部長) それと日本のプロ農家でも、韓国や中国のプロ農家でも、要望しているポイントは変わらないんですよね。そういう農業のプロの観点からは、機械はこうあるべき、こういう機械が欲しいということについて国が違っても同じことを言われます。逆に我われが変な色眼鏡で、日本向け、韓国向け、中国向けと区別するのはおかしいという発想です。そして中国では耐久性の技術を獲得しているから、それを日本のユーザーにも展開しようということで『ワールドシリーズ』と銘打ってはじめたわけです。
昆 中国進出はいつ頃でしたか?
田中 98年にコンバインを投入してからです。クボタの機械を買えば、必ず一番儲かる買い物になるという観点で、製品の投入とサービス体制を作ってきたことが、的を射たと思っています。性能は当然いい、そこそこの価格、稼働率も高い、故障も少ない。それから最後に中古で販売する時も他の機械よりも高く売れる。だから最初はローカルメーカーの価格が安くても、2~3年たてばクボタのコンバインを買ったほうが総合的には儲かるという姿が、中国で一般化されたわけです。
昆 今、クボタの機械は中国に何台くらいあるのでしょうか。
田中 約5万台です。十数年前に売った機械が6000時間とか7000時間とか動いて、まだ使われているんですよ。どうしたんですかと聞くと、いい機械だから自分たちで修理して部品交換を続けて使いたいというわけです。
昆 中国はジョンディアもありますね、ずいぶん価格も安いようです。
田中 完全に住みわけできています。当社は水田が中心でジョンディアは畑作ですから、コンバインでバッティングすることはないです。価格は確かに安い。100馬力が日本円で250~260万円ではないかな。それくらいで売らないと中国のローカルメーカーのなかで、商売できないのでしょう。
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富田哲司 トミタテツジ
(株)クボタ
代表取締役・専務執行役員
1950年生まれ。上智大学経済学部卒業後、73年久保田鉄工 (株)(現・(株)クボタ)に入社。99年トラクタ輸出部長、03年クボタヨーロッパS.A.S.社長に就任。04年クボタトラクターコーポレーション社長に就任。05年取締役に就任。09年機械事業本部長、機械海外本部長に就任、現在に至る。09年代表取締役専務執行役員に就任、現在に至る。
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