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編集長インタビュー

海外で培った技術で実現された高性能・耐久性・低価格のコンバイン



日本の農機メーカーにはどんな可能性があるのか?

昆 私は日本農業の一番大きな可能性は、海外でのコメ生産だと思っています。日本の品種を使ってカリフォルニア米より価格が安く、品質が高く、大量供給できる農業をする。そんな農業適地がロシア沿海州やウクライナにあります。果たして日本の自脱型コンバインは、そこで勝っていく感じをお持ちですか。

富田 どうでしょうか、最近は普通型も進歩していますからね。自脱型のロス率は、だいたい1~2%と言われています。一方、今我われがタイやベトナムで売っている普通型コンバインのロス率は、だいたい2~3%です。1%しか違いません。

昆 なるほど。ただ、海外のジャポニカ米はマイナークロップですから、その対応は本当の所できてないのでは。私はそこに日本の機械メーカーにとっての海外チャンスが広がっていると思います。実際、農家だけが出て行ってもできるわけなくて、フードビジネスが出て行かなくてはいけない。もちろん機械メーカーも一緒です。つまり単なる稲作技術ではなく、日本のコメ産業やコメを食べる文化が世界に出て行く。そうやって御社の農機における世界展開と、日本農業の世界展開とを一体的に考えることができれば、世界に夢が広がったなという気がしています。

富田 実は当社の作業機事業部でも「世界を刈る」という言葉を掲げ、ウクライナとかカスピ海のイランの北のほうとか、地域的な広がりを目指しています。普通型コンバインでコメだけでなく何でも刈ろうと作物的な広がりを目指し、大豆やトウモロコシ、ナタネも刈る方針です。

昆 海外の機械メーカーは、どんどん刈り幅や作業幅を広げていきますね。だけど一方で日本みたいな雨の多い国では、収穫機の形も風土に規制されます。だからこそアジアの水田地帯で、日本の機械が普及しているわけです。海外の機械メーカーと比べて御社には、どのような位置があるのでしょうか。

富田 欧米のようなメーカーは志向していません。大多数である小中規模の方々に使って頂けるものを作っていきたい。小中規模と言っても200ha前後を想定していますが、その層に需要される機械を作っていきたいと思っています。

昆 それは逆に付加価値のあるものがつくれる規模ということですね。話を『ワールドシリーズ』のコンバインに戻します。この開発意図を将来性も含めてお願いします。
富田 そもそも最近は国内と国外という見方をしていません。むしろアジア圏という広域で捉えて、その中の日本という位置づけですから、特に深い意図があって日本に持ってきた訳ではないんです。

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