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【エコファーム・アサノ 脳業発想力】
戦争と遺伝子組み換え作物
- エコファーム・アサノ 浅野悦男
- 第16回 2010年08月31日
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今年は終戦から65年か。よく言われてることだけど、年々戦争の記憶が世の中から薄くなってるよな。もちろんあんなバカなことは繰り返しちゃいけないけど、資源とかマーケットを獲得することが戦争の目的だとすれば、今でもそんな“戦争”は世界中で続いてるよ。
遺伝子組換え作物があるけど、あれだって戦争の一種よ。あれはアメリカが穀物で世界制覇をするためのひとつの手段じゃん。言ってみれば食べ物の核兵器だよな。病害虫に強くて収量がとんでもない作物を作られた日には、農業国はみんな困るわけじゃん。安全性がどうこうって話以前に、自国の産業構造は変わっちまうし、遺伝子組換え作物を開発したやつが儲かるだけなんだからよ。そんで開発した側は、飢餓で困ってる発展途上国に、だったらお前らこれを作りなさいって言うでしょ。だけどその代わり、お前らが持ってる地下資源をいつかよこせってことになるの。そういう狙いが見え見えだよ。そんで遺伝子組換え作物ってのは、経済合理性を追求して家族経営の農家をなくすことにもつながるの。それが嫌だっていうなら、戦う必要があるじゃんよ。
いま日本じゃ、去年のコメが相当余ってるらしいじゃん。これで今年も平年並みにコメがとれたら、もっと余っちゃうよな。もう日本人はそんなにコメを食わねえってことなんだから、どんどん世界に持っていけばいいのによ。相変わらず国内だけで需給調整しようとしてっからバカなのよ。
たとえば地下資源の豊かな国に食料を提供するけど、カネはいらないって言ったらいいじゃん。その代わり、レアメタルの鉱物を日本にくれればいいってことにすればいい。何も農業だけで利害を完結させるんじゃなくて、資源を必要とする産業と農業が手を結べばいいんだからよ。別に輸出するだけじゃなくて、現地で生産したっていいじゃん。農業ってのは食べ物を供給する仕事であって、どこでやろうが、誰が食べようが、国境なんて関係ないんだもん。
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浅野悦男
エコファーム・アサノ
1944年千葉県八街町(現八街市)生まれ。農業高校中退後、17歳で就農。その後、麦・落花生・サツマイモ中心の経営から野菜へと転換した。現在は高品質な西洋野菜を100種類以上作り、各地のレストラン向けに販売。シェフたちとのメニュー作り、新たな食材作りにも取り組む。本誌35号農業経営者ルポに登場。【経営データ】●面積/畑地2.5haで100品種を超える西洋野菜を栽培。●労働構成/夫婦と甥の3名。●取引先/全国100店舗以上のレストランに直販。
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