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最近はあちこちの農場で中国の研修生が働いてるでしょ。日本人だって同じことをすればいいんだよ。雇用で行くのか、経営者で行くのかの差だけじゃん。あとは日本人を迎え入れる体制がどこの国にあって、どこの国が一番やりやすい国かってリサーチをしたらいいの。そんで日本から経営者を送り込んで、現地の農業を産業化すればいいじゃん。その結果として途上国が発展するなら、ひいては日本の国益にも繋がるじゃんよ。
その点、中国は知恵があるよな。最近はアフリカにどんどん進出して、現地の資源を狙ってるでしょ。日本との交渉だって、どうするかってことを全部シミュレーション済みで来るのよ。だから、なんだって向こうの優位に動くようになってるの。その中で日本が優位になりたきゃ、中国がどうしても必要なものが何か、見極めなきゃいけない。そんで中国が絶対に欲しがるものは簡単には渡さないの。
俺なら自分の野菜は簡単に売らないよ。売らないって言っても、相手が絶対に欲しい、何とかして欲しいって思うようにして、その時に初めてテーブルにつくわけ。その時に「いくらで買える?」って言えばいいんだから。恋愛でもそうだろ? 手を出してすぐ寝る娘は、どっちみちすぐに飽きるの。そういう娘はたとえ一緒になったって必ず浮気するよ。商売も同じで、欲しいって言われるままに調子こいて売ったって、そのうちもっと安くて似たようなモノが出たら、すぐそっちに行っちゃうの。うちで作ってる西洋野菜も、最近は誰もがタネを手に入れられるようになって、あちこちに生産者が増えてきた。そっちの方が安くてうちから離れていく人だっているけど、俺は去るものは追わずだね。だってよその野菜を使わなきゃ、うちの野菜の魅力がわかんないじゃん。うちの魅力がわかったら、また戻ってくる人もいるんだよ。
戦争ってのは、軍人が武器を持って出て行くだけじゃないの。国際的に自分の立場を表明して、議論したり駆け引きするのも戦争なのよ。だから日本人も、自分たちのつくる農産物の付加価値を自ら知って、それを世界中の人が絶対に欲しいって思うような仕組みをつくらなきゃ。それが俺にとっては、戦争に勝つってこと。この戦争は無血だし、犠牲者も出ないじゃん。何もためらうことはないじゃんよ。
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浅野悦男
エコファーム・アサノ
1944年千葉県八街町(現八街市)生まれ。農業高校中退後、17歳で就農。その後、麦・落花生・サツマイモ中心の経営から野菜へと転換した。現在は高品質な西洋野菜を100種類以上作り、各地のレストラン向けに販売。シェフたちとのメニュー作り、新たな食材作りにも取り組む。本誌35号農業経営者ルポに登場。【経営データ】●面積/畑地2.5haで100品種を超える西洋野菜を栽培。●労働構成/夫婦と甥の3名。●取引先/全国100店舗以上のレストランに直販。
エコファーム・アサノ 脳業発想力
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