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木内博一の和のマネジメントと郷の精神

「お帰りなさい」がつくる農業サービス



 温泉でしっかり満足いただけるサービスをしていれば、お客さんが「ここ、貸し農園を始めるみたいよ。一緒に入会する?」と既存客の間で口コミが広がる。宣伝広告は一切しなくても、貸し農園という主力商品の営業につながるのだ。

 二つ目の違いは、「農村コンシェルジュ」の存在だ。分かりやすくいえば、ホテルの御用聞きの田舎版だ。専門スタッフが、個々のお客様の趣味や嗜好、家族構成などに合わせて、オーダーメイドで地元の楽しみ方をプログラムする。われわれのビジョンは、地域全体の魅力を伝えていくこと。その中のサービス窓口として、農のテーマパークを位置づけている。周辺のいろいろなところと提携していく。うち(香取市)には山の幸があって、銚子には海の幸がある。九十九里町の浜もある。成田山のご利益もあれば、車で20分のところに成田空港もある。すぐ隣のゴルフ場では、飛行機に乗る前に中国人ビジネスマンが一振りしている。そんな千葉県の北総地域に点在する資源を有機的に結びつけていくのが、コンシェルジュの任務だ。


創意工夫は都市の人々と

 三つ目は“サードプレイス”の考え方だ。「THE FARM」の真髄である。スターバックスが最初に使った用語だと思うが、要は家でも仕事場でもなく、“第三の場所”という意味合いだ。都心のカフェを思い出してみてほしい。コーヒーを飲みながら、職場のように仕事をしたり、家庭のようにくつろいだりする場所に、ただ人が集まる。この現象を田舎に置き換えて想像してみると、近未来の貸し農園のあるべき姿について視界が開ける。集まる動機はいろいろでいい。ただ農業をしたい人、自然に触れたい人、田舎暮らしをちょっと体験したい人、疲れちゃったから畑に寝転がって少し休みたいよ、でもいい。

 キーコンセプトは「お帰りなさい」だ。都市のカフェが「いらっしゃいませ」とお客を迎える場所だとすれば、会員同士が「ただいま」と帰ってこられる場所になればと思っている。理想は、「皆さんが創るコミュニティ」だ。初期のハードは(株)和郷がお金をかけてつくっていくけれど、ソフトの部分はみんなで話して、今の形にあったものをつくっていきましょう、と。地方で地方の人が変化のあるソフトをつくっていくには限界がある。しばらくは流行っても、いつのまにか廃れる事例は山ほどある。それより、「都市の人々のサードプレイスになりたい」とわれわれのミッションを公開するだけでいい。そんな空間を夢想していた都市の人々が勝手に創意工夫をし始めていく。

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