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坂上隆の幸せを見える化する農業ビジネス

学校に行ってみよう!



 具体例をあげよう。私の研究は、「個人経営から組織経営を進めることで、効率的な経営と新規就農者への体系的な技術ノウハウ伝達が可能になる」という仮説を証明することだ。その目的は、「農業の発展を目指し、ITを導入することで、農業界と農業経営に関わる課題を解決する」ことだ。我われ農業経営者にとっては、日々実践していることで、言わば、“当たり前”の活動に過ぎない。だが、研究サイドからみれば違う。その仮説が本当に可能になる“裏付け”は何か、が重要なのだ。

 実際に大学の授業では、腑に落ちることと、古めかしく思うことがある。前者は一般の経済原理に則った内容だから素直に受け止めているが、後者は教科書に書かれている「記録」よりも、我われ農業経営者の方が進んでいると感じるのだ。自らの実践で培った技術や経営の進歩、その枠組みを世の中に通じる形で言語化する意義を認識できた。農業経営者は実践で得た実際の情報を与えて、研究者は最新の研究成果を与える。私は、はじめから、その点で、研究サイドと対等な姿勢で取り組みたい。


研究者と農業の未来を照らす

 学校に入ってみて、一世代若い学生達と話すと、発見がいろいろある。ある学生は、「農業参入が成功するには、行政がどんな支援をすべきか」をテーマにしている。なるほど、そう理解しているか。やはり世の中の農業への問題意識が研究の世界に反映される。そんなことは農業の日々の商売にあまり影響ないのではないか、と思われるかもしれないがとんでもない。

 世界中で実践的な農業研究がどんどん進んでいる。実用化まで時間がかかるかもしれないが、その「知の巨人」の恩恵を活用し、現場でまず活用できるのは、その国の農業者だ。日本の農業研究が世界の最前線にいなければ、日本農業の将来成長にとっては、知の停滞を意味する。知の最前線である大学が農業研究の新たたな成果を農業界とともに、発信することは、他国との競争を考えれば、十分に脅威になりうるのだ。

 将来展望のある産業には、どんどん若くて優秀な人材が入ってくる。一生をかけて研究や就職を望むだけの魅力を提供するためには、まず、我われが到達した農業のレベルを正確に世に伝える努力をする。そして、農業にどのような可能性があるのかを体系的に訴える力を農業界が培うことが重要だ。これらの積み重ねで、研究サイドと対等にコミュニケーションできるようになり、あるべき実践と研究の融合が生まれてくると素直に感じている。

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