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【北海道長沼発ヒール・ミヤイの憎まれ口通信】
豊かにならない理由を国に求めて何になる?
- 西南農場 代表取締役 宮井能雅
- 第30回 2010年08月31日
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2カ月続けてコラムを投稿したが、今年の冬も米国に行ってきた。米国での3週間の始まりはLAに行き1週間自分の為にバカンスを過ごす予定だった。到着したLAは前日から雨が降り続け、毎年行く私も初めての悪天候を経験するバカンスとなった。考えて見れば北海道の一部の生産者は本州の多くの生産者に比べて贅沢なことをしているのかもしれませんね。春から初冬まで真剣に働き、そのご褒美で優雅に勉強かたがたバカンスに行けるのですから。
正直申し上げて「消費者がどうだ」「顔が見える農業」なんてことを正々堂々と発言できる方達は、所属している組織の援助で国外に出ることはできても自腹でバカンスは無理でしょうね。たとえ行けたとしても中国かベトナムあたりですか?
中国語もできないで中国に行く、ベトナム語もできないのにベトナムに行くの?
そして帰国したら「あー良かった」なんて言うのでしょうね。確かに観光目的であれば、言葉は通じなくても楽しい思い出は作れそうですが、勉強のために海外に出かける生産者っているんでしょうか?
あっ失礼、元々勉強のために海外に出かける生産者はいませんでした。北海道の4カ月間、雪に埋もれ、パチンコや肝硬変予備軍になるために酒を飲んで過ごす生産者の行為は国税庁の利益になっても、生産者自らの利益になるの?
また多くの若者が冬期間アルバイトで高速道路、飛行場、鉄道の除雪作業で得られる60万円の金額と、米国で1週間勉強することをなぜ比較しないのか。後者は自分の農業人生を変えることになるのに。それを知らないのは“日本かぶれ野郎”というしかない。
農業は基本的には自営業なので、自分の考えや個性を出しても自由だと思われているし、実際そう振る舞っている生産者がほとんどだ。しかし結果ははっきりと違う。20年ほど前に黒柳徹子さんがご自分の番組『徹子の部屋』で、ある有名な作曲家に「どうしていつもヒット曲を作れるのですか?」と聞いた。答えは意外なものだった。「ヒットする局のビートやリズムは決まっていますから」と言ったのだ。つまりそれさえ用いれば、後はどんな作曲家でも簡単にヒット曲は作れるらしい。ところが多くの作曲家は独自の色や新しいジャンルを作ることに燃えていて、残念ながら現実は簡単に視聴者には受け入れられない曲になってしまうそうだ。
このようなことも言っていた。「あいつまた、ヒット曲ばかりつくりやがって!」。つまり楽に稼げることは誰でもできるのに、あいつは独自の自分の曲なんてないじゃないか、という意味らしい。だから彼は仲間内からは尊敬されないとも言っていた。
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宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
北海道長沼発ヒール宮井の憎まれ口通信
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