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すでに今年7月からいくつかの省で最低賃金を改正している。上海では960元から1120元に、中国の奥地といわれ発展が遅れている雲南省昆明でも680元から850元になった。沿岸部と内陸部の差はほとんど見られない。中国は上手く日本のいいとこ取りをしている。
こういった時流を読んでか、先の富士康科技集団の親会社の郭台銘会長は、事件後に「我われは転換点を迎えた。もはや中国の安い労働力に頼ることはできない」と語り、工場は賃金を月900元から1200元に上げ、さらに10月から2000元にすると発表した。こうした対応によって、ことなきを得たというわけだ。
だが、これだけでは日本企業でストライキが起こる原因を説明しきれない。広州ホンダでストライキが起こった本当の原因は、物価上昇ではなく、若手の駐在日本人の給料が高いことに対する不公平感が募ったためだといわれている。明らかに労務や財務が日本人で固められている傾向があり、現場の意見が反映されない仕組みに問題があったようだ。こういった日系企業の対応もストライキにつながるのだ。
日本人的な思い込み
ところで、日本人上司は部下に対して「あいつを育ててやった」「一人前にしてやった」と義理人情で見がちだが、それは中国では通用しない。中国人は同じ会社に留まるのはリスクと感じて転職を繰り返し、ステップアップを図る。大学を出て3年で転職2回というのも珍しくない。大学の同窓生とも給料や条件などを常に情報交換しており、転職後すぐに次の転職のための就職活動をする輩もいる。ライバル会社に情報を持っていくのだ。顧客もまるごととっていく。重要なのは給料なのである。
一生懸命に可愛がり、待遇を良くしても、中国人はそれを自分の力だと思う。仕事で失敗して謝ることもなければ、仕事を教えてもらったことに対する感謝の言葉もないのが中国人だ。雲南で会社経営している日本人の友人は、中国語が堪能でもいまだに中国人が分からないという。中国に入れば中国のビジネスに慣れる必要がある。
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土下信人 ツチシタノブヒト
1949年愛知県生まれ。95年、沖縄で(有)土下を設立。組織培養技術を活用した苗生産・販売を中心とした農業のコンサルタント業務を開始。上海で組織培養施設への指導を行ない、2003年同地で組織培養会社、上海百奥微繁植物有限公司を設立。HP『大きな国で』を開設。
ちょっとちがうぜ中国で農業
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