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特集

「奇跡のリンゴ」は、なぜ売れたのか〜「木村秋則」現象を追う〜



 しかし消費者に向けの定義付けの必要性や、「自然」と農産物の安全性を安易に結びつける動向に疑問を呈するコメントが多かった。「作物がどのようにして作られているのか知らない若い人たちは、自然農法と聞いただけで安全な食べ物と思い込んでいる人が多くいると思いますが、これは作り手の言い分であって、必ずしも良いとは思いません」(栃木県・N氏・農業者)「化学肥料、農薬を使用していないから、葉っぱを虫にかじられているから、自然農法などと、ただ一点だけを取り上げて語られている気がします。全く、人の手を加えずに農産物を生産するのは難しいのではないのでしょうか。」(鳥取県・T氏・農業者)

農業に関わる読者諸兄としては、やはり気になる存在。それでは次頁より「木村秋則」現象に深く関わる人々を紹介していこう。

PART1 社会 なぜ“奇跡のリンゴ”は人々の心を掴んだのか?

木村秋則氏のノンフィクション『奇跡のリンゴ』は26万部を記録。その実物を食べてみたい人々は抽選で順番を待っている。いったい何がここまで人々の心を掴んだのだろうか?

 リンゴが教えてくれたこと』(日本経済新聞出版社)『自然栽培ひとすじに』(創森社)など、今、書店を覗けば一角を占めている木村秋則氏の著作。ブームの火付け役になったのは、ライターの石川拓治氏が木村氏に密着したノンフィクション『奇跡のリンゴ』(幻冬舎)だった。担当編集者の大島加奈子氏は、本が誕生したきっかけを振り返る。

 「NHKのドキュメント番組『プロフェッショナル』で木村氏を取り上げた際、司会の茂木健一郎氏から、「感動した。これは本にした方がいいよ」と教えていただいたんです。それで木村氏に会ったら、非常に超越した印象を受けて面白そうだと思ったので、取材をお願いしました。すでにテレビで取材をしていたので作ろうと思えばすぐに本はできたのですが、作者の石川氏が熱のこもった取材を続けたため、完成まで約2年の年月を費やしています」

 取り上げる分野が「農業」ということもあって、当初はそれほど売れる期待はされず、初版は少なめの6000部からスタート。それが少しずつ売れ続け、口コミで話題が広がり、発売から約2年で26万部にまで達した。読者層は20代が約4割で、40代までで約9割を占めるという。なぜ農業とは縁遠い若者の心をとらえることができたのだろうか。

 「実は農業本として出しているつもりはないんです。この本のテーマは“困難にぶつかった時、人はどう乗り越えていくか”であり、その普遍性が共感を呼んだのではないでしょうか。またこの本は木村氏に対する賛否両論を取り上げて、業績をジャーナリスティックに検証する本でもありません。あくまでも木村氏という対象に寄り添って、成し遂げた部分にスポットライトを当てたかったんです」

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