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特集

「奇跡のリンゴ」は、なぜ売れたのか〜「木村秋則」現象を追う〜


 まず驚かされるのが、緑肥の割合だろう。無肥料・無農薬を継続するために自然栽培でも特別栽培でも、それぞれ圃場の約3分の1は緑肥を作っている。当然、生産性は低下するが継続性を選んだ結果だ。

 緑肥は植物として一生を終える状態まで育ててから、チョッパーで粉々にして乾燥させ、畑に鋤き込む。その理由は“山の葉は枯れてから土に帰る”からだという。「まず自分の近くの山で物質循環を理解する」というのが師匠の口癖だ。これを父親の代から40年近く続けている。

 主力はジャガイモ。基本的に青果用として生協などに販売している。父親の代から自ら顧客を開拓してきた。農協には一切出荷していない。そして原料として出荷するのではなく、製品として出荷できるように、設備投資を重ねてきた。自前の選果機があり、大規模な貯蔵庫もある。栽培にはソイルコンディショニングシステムを使っている。発芽前の除草には、特注の専用除草機を使い、播種済みの畝を崩して再び整畦するようにして除草する。発芽後の除草はみのる産業の畑作管理機にキューホーのカルチで行う。浮いた農薬と肥料代は除草の人件費で消える。


■土や作物の変化は?4年目からソウカ病が消える

 現在、自然栽培のジャガイモは反当たり出荷量が約800kg。特別栽培レベルの反当たり出荷量が約2tなので、約半分ということになる。十勝で青果用のジャガイモの価格はだいたい10kgで1000円ほどだが、自然栽培のジャガイモの場合、その倍以上の価格で出荷できる。だから反当りの出荷量が半分になっても採算が取れる。もちろん無農薬・無肥料で付加価値をつけることができる出荷先に販売する。

 最初はメークインで無農薬に挑戦したが、うまくいかなかった。近年は花標津やさやあかねといった、疫病抵抗性の品種を導入している。自前で選果場があるから、北海道にある豊富な品種の中から、自然栽培に適した品種が選べるのが強みだ。

 「収量は年によっていい品種とそうでない品種がある。自然栽培では一つの品種に決めないで複数の品種にして供給を安定させる必要がある。出荷を半分にするより、品種が変わっても供給すべき」

 思えば自然栽培を初めた2004年頃は、まず芽が出てくるか心配だった。そして生育が遅い、葉が大きくならない、色が薄い、畝がふさがらないなど心配の連続。しかし2年目に試験場職員が生育を見にきて「ものすごくいいじゃない!」と驚いたのを聞いて自信を感じた。特に、花標津は木が暴れやすいが、それが最後まで立ってる。理想的な草勢だというのだ。

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