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特集

「奇跡のリンゴ」は、なぜ売れたのか〜「木村秋則」現象を追う〜


 農業に無関係の人にも興味を持ってもらえる内容にしようと考え、作者の石川氏にはリンゴに関する学術的な説明より、土の匂いや自然など、肌で判じる描写を多く入れてほしいと依頼。結果、最初はノンフィクションや農業系書籍の棚を中心に置かれていた同書は、困難を乗り越える内容がわかりやすく伝わり、自己啓発やビジネス書のコーナーへも拡大して認知を広げていった。

 ちなみに同書以降、出版業界ではタイトルに「奇跡」のつく本が流行した。それについて大島氏は「閉塞した時代だから、思いがけないことが起きるのを求めて、“奇跡”という言葉に惹かれるのでは」と分析する。『奇跡のリンゴ』は時代が求めたヒットなのかもしれない。


食料品店から見た自然栽培のコメの価値((株)福島屋 代表取締役社長 福島 徹)

 木村秋則氏の本が注目される中、はたして自然栽培の農産物に追い風は吹いているのだろうか。東京都羽村市を拠点とし、自然栽培の農産物も扱っているスーパーマーケット・福島屋の福島徹社長は、「ここ数年、いわゆる自然食品の売上は、業界全体で見て壊滅的に悪い」と語る。

 「考えられる理由はふたつあって、ひとつは“自然食品”の打ち出しがあまりに多いものだから、情報過多でマーケットがそれを気にしなくなってしまったこと。もうひとつは、自然食品なんだから、見てくれが悪くても、おいしくなくても、少し高くてもしょうがないよね、という姿勢に消費者の気持ちが離れたこと。だから私は、自然栽培を名乗れば高く売れるのは一過性の現象で、それが先まで続くと思わないほうがいいと、みんなに言っているんです」

 知名度はダントツの「木村秋則」が銘打たれた商品ですら、リンゴ以外の関連商品の売れ行きはほどほどだという。

 かつては生産者の名前をつければそれだけで動いたが、今や袋小路に入りつつある自然栽培の農産物。その中で福島屋が注目するのがコメだ。実際、福島屋では何軒かの農家と契約して、自然栽培のコメを販売しており、農家からは「減収になっても最終的な手取りはいい」との感想が聞こえてくる。ただし店頭で自然栽培のコメを使う担当者に話を聞くと、「あたりまえですが、自然農法のコメなら全部おいしいわけではありません。作り手によって味はさまざまです」との声も。自然栽培に取り組む生産者には、食味や品質にこだわる人が多いので、結果的においしいコメを作る人が多いということだ。その他でも「無農薬」にこだわってコメを探してくる場合に紹介するケースもあるとのこと。

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